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2024.7.26

SSR-7 大阪湾テンヤタチウオゲーム パーフェクトレクチャー / 金森聡 X 清水恭仁

2024年、タチウオシーズン開幕間近。第7回目の「S-sense Report 」は、金森聡さんをゲストに迎え大阪湾タチウオテンヤ釣りのノウハウ等についてお聞きしたいと思います。

金森聡 / 大阪湾タチウオキングバトルで毎年好成績を残しているテンヤタチウオ釣りのエキスパート。ダイワ(グローブライド)フィールドテスター 大阪府在住 1980年生    ◼️金森聡 ダイワ船最前線ブログ

– – ダイワフィールドテスターとして2024年から活躍されている金森さんですが、初めに今後の活動に対する抱負をお聞かせください。

金森 : 先ずは、日頃私を支えてくださっているフィールドの皆さま、並びにグローブライド社関係者の皆さまにお礼を申し上げます。今後さらに活動の幅を広げ、テンヤタチウオ釣りを中心に関西エリアの釣りを皆さんと一緒に盛り上げていきたいと思っています。

– – それでは、本題に移りましょう。金森さんは、どのような経緯で船タチウオ釣りを始められたのですか?

金森 : 7年程前に友人から船タチウオ釣りに誘われたのがきっかけです。それまでは、陸っぱりでタチウオ釣りをしていました。

– – 初めての船タチウオ釣行に際してのタックル選定はどうされましたか?

金森 : 「タチウオX」と「シーボーグ300」を購入しました。ロッドも入門用モデルですし、電動リールも今考えればかなり大きい機種を選んでいました。

タチウオX H-180

シーボーグ 300J

※上記ショートカットは、現行モデルのご案内となります。

– – 初めての船タチウオ釣りは、どんな感じでしたか?

金森 : ロッドを揺すって止めて、アタリが出たら掛けにいく。今思えば下手くそなワンピッチジャークなんですが、それなりの釣果を得られました。しかしその日の釣りを振り返ると出来た事より「もっとこうすればよかったのではないか?」という問いかけが自分の中に残りました。アタリを出せなかったり、アタリがあっても掛けられなかったり。この釣行が起点となり、週三ペースで船宿に通うタチウオマニアに変貌してしまいました。

– – 『大阪湾タチウオKINGバトル』に出場するようになったきっかけを教えてください。

金森 : 当時通っていた船宿さんに勧められて出場をしました。船タチウオ釣りを初めて一年位のタイミングです。

– – それだけ通っていたという事ですね。結果は、いかがでしたか?

金森 : 一次予選を抜け、セミファイナルまで進む事が出来ました。

– – 初めて参加した『大阪湾タチウオKINGバトル』の印象を教えてください。

金森 : 参加者のレベルは、『自分と比較してあまり差はないな』という印象を受けました。しかし今思えば、この釣りの本質を理解し得なかった自分自身を猛省しています。

– – 大会に出場して新たな気づきはありましたか?

金森 : タックルの重要性と一匹の大切さですね。それまでバッテリーは、船電源を使用していました。でも一斉にタチウオが掛かりだすと、電力不足で電動リールが落ちてしまうんです。フッキングをしても巻き上げ途中で電動リールが止まってしまう。大会中かなりの数のタチウオをバラしてしまいました。これを機に電動リール専用バッテリーを購入し、リールも小型化しました。そしてロッドは、「アナリスター タチウオテンヤ」から「メタリア タチウオ テンヤ SP」にバージョンアップをしました。

アナリスタータチウオ テンヤ 82-180・R

メタリアタチウオ テンヤ SP 82-190

シーボーグ 200J

スーパーリチウム12000WP-C

※上記ショートカットは、現行モデルのご案内となります。

– – この流れを経て「極鋭タチウオテンヤシリーズ」に行き着いたと思うのですが、普通に考えるとかなり遠回りをされていますね。

金森 : 私自身、タチウオ釣りを始めた当初より「極鋭シリーズ」を使ってみたいという気持ちを持っていました。しかし、そこには当然資金的な問題が出てきます。普通に生活をする中で「極鋭シリーズ」を購入するには、かなりの決意が必要でした。最後に自分自身の気持ちを後押ししたのは、このロッドがどうしても必要だという意味が理解出来たからだと思っています。

– – 先程おっしゃられた『大会における一匹の価値』ですよね。カワハギトーナメントでも同じ事が言えます。どの機種を購入されたのですか?

金森 : 2018年7月に発売された「極鋭タチウオ テンヤSP EX AGS 178」です。

極鋭タチウオ テンヤSP EX AGS178

– – 極限の軽さと感度、超絶フッキング性能をキャッチフレーズに開発された当時としては先鋭的なロッドでした。このロッドを使用することにより、釣果に変化は出ましたか?

金森 : 使い始めた頃は、逆に釣果が伸びませんでした。「極鋭タチウオ テンヤSP EX AGS 178」を使うと今まで気づかなかった前アタリまで拾ってしまうので、フッキングのタイミングを掴むのにかなり苦労をしました。

– – 突如視界が広がるような感覚で情報が一気に溢れ出し飛び込んできますよね。

金森 : タチウオがテンヤに近づくと水流が変わるような微細な変化まで手元に伝わります。集中力が高い時は、どのタイミングで前アタリが本アタリに変わるかまで察知することが出来ます。

– – スーパーメタルトップ(以下SMT)穂先を搭載した「極鋭カワハギシリーズ」にも同様のことが言えます。明確にアタリが出ない居食いの状態でも違和感としてラインを通して魚の存在が手に伝わります。そこからフッキングに持ち込むまでを釣り人主導で組み立てができるのも「極鋭シリーズ」の魅力ではないでしょうか。 ◼️スーパーメタルトップ

– – ところで「極鋭タチウオ テンヤSP EX AGS 178」を自在に操るのにどれくらいの時間を要しましたか?

金森 : 一年近くかかりました。そして「極鋭タチウオ テンヤSP EX AGS 178」を自分のものに出来たと確信を持った時、『大阪湾タチウオKINGバトル』で準優勝という結果を残すことがが出来ました。

– – ある意味良い経験をされたと思います。本気でハイエンドモデルを使いこなすには、時間をかけて段階を踏んでいく必要があります。ロッドから提供される情報を正確に精査をして確実に釣果につなげるには、素材を含めたロッド特性を理解する必要があります。「タチウオX」、「アナリスタータチウオテンヤ」からタチウオ釣りを始めたのは一見遠回りに見えますが、ロッド特性を理解するという点において正しい選択だったのではないでしょうか。初めて手にしたロッドが「極鋭シリーズ」だとしたら、今の金森さんのレベルに行き着く事が出来なかったような気がします。

金森 : 清水さんのおっしゃる通りだと思います。私にとって「タチウオX」や「アナリスタータチウオテンヤ」は、自分自身のスキルを磨くことにおいて大きな役割を果たしてくれました。このクラスのロッドで並居るライバルと同等の成績を残すには、ロッドが持つ性能を超える感性領域まで踏み込まなくてはなりません。自分の感性を研ぎ澄ませ、その時手にしているロッドの性能を極限まで引き出そうとしていました。

– – 金森さんが話された『一本のロッドを使い込む(理解する)』というのは、自分の中に基準を創るということを意味します。これは私の自論にも共通しますが、いきなりハイエンドモデルを持つと性能が高すぎて基準を作るにも肝心の基点がブレてしまいます。その点入門用ロッドは、得られる情報が必要最低限ですので、その釣りがどういうものかを理解するには最適の素材です。

金森 : 釣りが上手くなる一番の近道が、ハイエンドモデルを購入する事ではないんですよね。昨今のタチウオ釣りは、釣法も細分化され多種多様な調子のロッドが発売されています。自分の中に確固たる基準を持っていないと、高価なロッドを購入しても逆に釣果が落ちてしまう事もあり得ます。

– – 釣りの技術を上達させるには、ロッドが発する情報を的確に分析しなくてはなりません。いきなりハイエンドモデルを持つと、溢れ出る情報の多さに必ず見落としが出てきます。ある意味入門用モデルは得られる情報が少ないこともあり、情報を的確に分析する事が可能です。その情報を精査して、理解をした後に上位モデルにステップアップをする。この繰り返しの中で確固たる自分のスタイルが創り出されていきます。そのステップを踏んできた 金森さんがお勧めするロッドをお聞かせください。

金森 : 追わせる釣りや掛ける釣り。多彩な釣法に対応出来るど真ん中の82調子に仕上がった「極鋭タチウオテンヤSP」、「極鋭タチウオテンヤSP EX」です。このロッドは、私がトーナメントで一番信頼を置き使い続けてきたロッドです。

極鋭タチウオテンヤSP 82-182AGS

極鋭タチウオテンヤSP EX 82-174

– – 選定理由をお聞かせください。

金森 : 結局、ど真ん中の調子がオールマイティで一番扱い易いという事なんだと思います。73調子のロッドで91調子の釣りをする事は不可能ですし、逆のパターンもまた然りです。この幅広い汎用性は、トーナメントにおいて大きな武器となります。また82調子のロッドは、基本を習得するという意味合いにおいてもうってつけの素材ですので、これからタチウオ釣りを始めたいという方にもお勧めの調子になっています。

– – 続いてテンヤのカラーセレクトについてお聞ききします。真鯛釣りの「ひとつテンヤ」にも当てはまりますが、タチウオテンヤも多種多様なカラーが用意されています。金森流カラーセレクトの極意をお伝えください。

金森 : 普段の釣りであれば、その時々のシチュエーションに合わせたカラーを選択しますが、タチウオキングバトルに的を絞るのであればハイアピールカラーの『グロー』一択となります。トーナメントでは、ハイアピール系テンヤに反応する活性の高い個体にターゲットを絞り、効率の良い釣りが出来るよう心がけています。また、アタリの伝達性能や手返し時間の短縮を考慮してタングステン素材のテンヤを使用しています。

– – シーズン中盤以降のカラーセレクトは、どのような感じでしょうか?

金森 : 光量を抑えた『紫ゼブラ』等のカラーを使用することが多くなってきます。秋口から冬にかけては、ナチュラル系の『赤金』も押さえておきたいカラーですね。

– – テンヤカラーの移り変わりは、海水温による水質の変化(透明度)が影響がしているのかもしれません。続いて金森さんが使用するエサについてお聞きします。金森さんといえば『サンマ餌』のイメージがありますが、サンマ餌を使用するメリットをお教えください。

金森 : 一番は、餌持ちの良さです。イワシ餌で掛け損ねると『尻尾が無くなったかも…?』という思いがどうしても頭の中によぎります。その状況で少しでもアタリが遠のくと、無意識のうちに誘い操作が散漫になってしまいます。その点サンマ餌は、タチウオが数度アタックしたくらいではエサが無くなることはありません。私にとってサンマ餌は、集中力を途切れさせることなく誘いを継続するための重要なファクターなのです。ただ例外的にイワシ餌が強い時期もあります。シーズン初期(7月、8月)は、タチウオがイワシを追って大阪湾に入って来ますので、この時期だけはアタリの出方を含めてイワシ餌の方に軍配が上がる場合があります。

– – シーズン初期となると水深80メートル前後のポイントを流しているのだと思いますが、タチウオはそこまで視認しているものなのでしょうか?

金森 : 視認していると思います。また、タチウオは視覚だけではなくベイトが発する波動を察知する能力にも秀でていますので、テンヤに巻いた餌の形状差による波動によって餌を選別している可能性も考えられます。

– – テンヤヘッドの形状等もタチウオ釣りでは重要なファクターなんでしょうね。素材によるヘッド形状の大小やラインを結線するアイの位置(ノーマルモード、バトルモード)に起因する姿勢変化からくる波動の変化。タチウオ釣りの奥深さの一端を垣間見た気分です。        続きまして、タチウオ釣りにおけるタナ取りについてお聞きします。ポイントとなる大阪湾は水深が深く、幅広いタナを探らなくてはなりません。この部分をマトリックス化することで、更なる釣果アップが期待出来ます。金森さんが考えるタナ決めの秘訣をお聞かせください。

金森 : 狙うタナの決め方は、プライベートと大会では全く違ってきます。大会の場合は、ボトムから20メートル切って展開の速い誘いを中心にリサーチを始めます。移動距離が長く速い誘いに反応し、短いステイタイムにアタックしてくる活性の高い個体が多く存在する層を探すようにしています。

– – 大会時の初回投入時にアタリが75メートルで出た場合、次の投入でのタナ決めはどのようにされていますか?

金森 : 最初の投入でタチウオの活性が高いと判断した場合は、アタリが出た75メートル地点から誘いをスタートします。そこから投入ごとに5メートルづつ起点を上げながら、なるべく浅い水域で活性の高いタチウオを探すようにしています。

– – 1メートル、2メートルじゃなく一気に5メートルもタナを上げるんですか?

金森 : 一回目のリサーチで活性状況を判断していますので、タチウオの活性が高ければタナをこれくらい上げても全く問題はありません。

– – タチウオの活性は、どのように判断されるのでしょうか?

金森 :  誘いに対するタチウオのリアクションを判断材料としています。高活性時は、穂先の一瞬テンションが抜けるような食い上げのアタリが多く、低活性時は、モゾモゾとした居食いをしているようなアタリが多いですね。

– – 低活性と判断した場合、どのよう誘いをされていますか?アタリがあったタナを狭いレンジでねちっこく攻めるような感じでしょうか?

金森 : アタリがあったタナをねちっこく攻めるのは、限られた時間を有効に使う意味においてお勧めは出来ません。このような場合は下層まで仕掛けを再度落として、活性の高いタチウオが居る層を探し出した方が得策だと考えます。

– – アタリタナを基準として、次に狙う下層のタナを具体的な数値で示していただけますか。

金森 : アタリがあった水深から10〜15メートル下のタナを基準としています。状況にもよりますが、洲本沖の水深100メートルポイントでは活性の高い層が何層かに分かれて存在している場合がありますので、そのようなポイントでは再度仕掛けをボトムまで降下させる場合もあります。

– – アタリを出すだけでフッキングに至らない小型タチウオや低活性のタチウオに執着することは得策ではないということですね。

金森 : 基本は、各層に存在するタチウオの群れ全体の活性を判断しながら一番効果的に数を狙える層を狙い撃ちをするのが効率的だと思います。

– – さて、ここからが本題です。読書の皆さまが一番興味を持たれる誘いについてお聞きします。カワハギシーズンと被るので本格的にタチウオ釣りをすることがありませんでしたが、私自身初めてのテンヤタチウオ釣りは二十数年前に遡ります。当時は、ボトムから数メートルの範囲でリールをゆっくりと巻くだけのある意味のんびりとした釣りでした。しかし、ここ十数年『大阪湾タチウオKINGバトル』の盛り上がりと共にタチウオ釣りが様変わりをしています。匹数至上主義(2023年より、大阪湾タチウオキングバトルファイナル大会のみ肛門全長26センチ以上の個体が対象)は、タックルの進化と誘いの多様化を推し進める反面、これからタチウオ釣りを始めようとする方にとって一歩を踏み出し難い状況を生み出しているように感じます。カワハギ釣りもそうなんですが、タックルや誘いが細分化されすぎると『難しいテクニカルな釣り』だと受け止められてしまう。正解に辿り着くアプローチが多岐に渡り、それに応じたタックル、誘いを理解してセレクトしなければ釣果はいつまで経っても上がりません。

◼️大阪湾【爆釣メソッド】完全公開!テンヤタチウオ EXPERT STYLES VOL4 金森聡

金森 : 清水さんのおっしゃる通りです。つまるところ、『自分自身が何処を目指すのか』という言葉に行き着きます。                        ただ太刀魚釣りを楽しみたいのか?                             それとも大会に出て結果を残したいのか?                       タチウオ釣りに対するアプローチは、目指す方向によって変わってきます。その日釣った新鮮なタチウオを食べたいだけなら、仕掛けをボトムまで落として微速(速度5)で巻くと数はそれなりに獲れますからね。

– – この釣り方でボトム付近を攻めるとデカいタチウオが掛かってきそうですね。

金森 : 昔から『ドラゴンは、ボトムの微速巻き』が定説ですよね。しかし昨今は、速い微速巻き(速度12)の方がドラゴン率が高いような気がします。由良沖などでは、稀に仕掛けを回収している時に掛かってくることがあります。大きな個体の方が、テンヤを追って上層まで上がってくる遊泳力を持ち合わせているのだと思います。ただドラゴンだけを狙うと極端にアタリが減ってしまうので、ある程度数を獲りたいのであれば活性の高いレンジを見つけてその層付近を集中して狙っていくのが良いと思います。

– – それでは中級レベル以上の方に向け、金森さんが持っている誘いのメソッドをご教示ください。

金森 : 私の基本的な誘いは、微速巻きを入れずにハンドルを回す『ストップアンドゴー』の即掛けスタイルです。ハンドル巻き数は、二回転から三回転。アタリが鮮明に出て、その後のフッキング動作にも移行しやすい適度なラインテンションを維持出来る巻き数としています。

– – 微速巻きは入れないのですか?

金森 : 微速巻きは、その時々の状況次第で組み入れる時があります。私の考え方として、タチウオのアタリは適正なラインテンションを維持出来なければ捉える事が出来ないと感じています。この考え方は、カワハギ釣りで集寄の釣りを得意とする清水さんならご理解いただけるのではないでしょうか?

– – 私の考えるカワハギ釣りにおける『集寄の釣り』とは、仕掛けをただ弛ませるようなマイナステンションの釣りではありません。集寄に潮を当てアタリが出るラインテンションを創り出すという点においてジャンルは違いますが金森さんと同じ考え方を持っています。問いかけの内容から察すると、ラインテンションを維持するための手段としてタチウオ釣りで微速巻きを必要とするシチュエーションが存在するということですね。

金森 : その通りです。荒天で海が荒れると糸ふけが出やすくなりますので、微速巻きを組み入れてラインテンションを管理しています。また、私自身速い展開の釣りを好みますので、タチウオの活性が高い時も微速巻きを入れています。釣り手の技術で如何にアタリを出すかという点において、カワハギマニアの方々とタチウオマニアの間には感覚的に共感できる部分が沢山あると感じています。

– – しかし関西エリアでは、潮流の変化が多く潮も複雑で速いので最適なラインテンションを作り出すのは苦労しそうですね。

金森 : その通りです。二枚潮などはその最たる例で、自分が思っている以上にラインテンションが抜けています。ラインテンションが抜けていると、せっかく出た強いアタリが竿先にまで伝わりません。ステイタイミングでラインに弛みが出ないよう仕掛けを適度に巻き上げてラインテンションを適正に保たなくてはなりません。この操作によりアタリを感じて次の動作に移行するまでのロスタイムも減少するので、フッキング率も向上します。

– – ラインの弛みは、テンヤの動きが緩慢となり誘い効果も半減してしまいます。タチウオ釣りにおいてもラインテンションの管理は非常に重要なファクターであると認識をしました。その対策の一助としてタングステン素材のテンヤの使用することも、有効な手段の一つです。

快適船タチウオテンヤSS 40TG

船タチウオテンヤSS TG

金森 : タングステン素材のテンヤは、高比重でヘッド部がコンパクト化されていますので潮流抵抗が小さく糸フケを大きく抑制します。この釣りで一番大切なのは、如何にラインを張り、きちんとアタリを出してどう掛けるかということなのです。

– – 次にアタリを出すための誘いについてお聞きします。金森さんは、自分自身の誘いをどのように分類されていますか?

金森 : 私の誘いは、テンヤカラーとテンヤの移動距離による相関関係を基に組み立てています。基準となるのは、この二つのファクターによるタチウオへのアピール度。テンヤカラーの分類は、グロー系色をハイアピールカラーとしノングロー系色をローアピールカラーとしています。テンヤの移動距離については、誘い幅が小さい場合をローアピールとし、大きい場合をハイアピールとしています。例えば、ショートレンジの誘いにグロー系テンヤを組み合わせるのは、どのような考え方を基としているかお分かりでしょうか?

– – ハイアピールのテンヤを狭いレンジで魅せて低活性のタチウオに反応させるいうことですか?

金森 : その通りです。濁り潮の場合も棚が狭いので、ハイアピールテンヤを使用したショートピッチの誘いが効果的です。でも個人的には、なるべくハイアピールテンヤを使用してピッチの長い誘いについてくるタチウオを狙いたいという思いが強くあります。タチウオ釣りには、『強い誘いには、強いアタリ』、『弱い誘いには、弱いアタリ』が返ってくるというセオリーがあります。私の中にあるトーナメンターとしての本能が、より活性の高い魚を引き出すための『強い誘い』を無意識に求めているのかもしれません。

– – 続いて誘い後のステイタイムの設定はどのようにされていますか?

金森 : 通常時のデフォルトを3秒で設定し、活性が高ければ2秒、活性が低ければ5秒程度までステイタイムを落とす場合があります。タチウオの活性が高ければ短く活性が低くければ長くなる傾向ですね。

– – ステイのタイミングでアタリが出ることが多いと思いますが、食い気満々のヤル気のあるアタリから微弱なアタリまで千差万別だと思います。特に微弱なアタリの対処方法を教えていただけますか。

金森 : これはもうタチウオにテンヤを追わせて食い気のスイッチを入れるしかないと思います。小さな誘いを徐々に大きくしていき逃げるベイトを演出すると、最後は勝手に竿先を『グン』と引っ張るアタリに変わります。

– – では、タチウオが下からテンヤを頻繁に突いているのに掛からない場面を動画でよく見かけますが、このアタリを効果的に掛ける方法はありますか?

金森 : これは、一般的に穂先が跳ね上がる『食い上げアタリ』と言われるアタリです。確かにアタリが頻繁に出ますが、なかなか掛かりません。             なぜ掛からないのか?                                     この点について私なりの想像を交えた見解をお話しします。先ず『食い上げアタリ』と言われるこのアタリ。テンヤのヘッドや針にタチウオがアタックをしている時に現れる現象ですが、ある時あまりのフッキング率の悪さに他の可能性が考えられないかと考えを巡らせたことがあります。そして偶々ですが、意識を集中するとステイ直後のロッドに微細な違和感(もたれ)を感じることが出来ました。次の投入時も意識を集中すると、同様の違和感を感じます。そこで少し速めの小さなフォールを入れると、穂先の曲がりに小さな変化が生じるのを感じ取りました。この穂先の動きからステイの直後のタイミングで居食いをしているタチウオが少なからず存在するのではないかと考えるようになったのです。『食い上げアタリ』はタチウオがテンヤにアタックしている時だけに現れる現象ではなく、居食い状態からタチウオがテンヤを離した時にも同じような反応が現れているような気がします。

– – 金森さんの推測が正しいとすると、いくら瞬時にアタリを感じて合わせを入れてもフッキング率はかなり下がってしまいますよね。

金森 : タチウオはホバリングが上手な魚ですので、テンヤの上下動に対して気配すら感じさせずに同じスピードでついてきます。ステイ直後のタイミングでタチウオが居食いをしているパターンがあるということに即掛けをしている殆どの方がまだ気がついてないような気がします。

– – 居食いを察知出来れば、そのタイミングでフッキングを入れれば簡単にタチウオが掛かりそうですね。

金森 : それが掛からないんです。居食いを察知してフッキングに持ち込むには、ここから上層に向かってタチウオにテンヤ追わせる必要があります。この追わせるスピード調整が難しくて、早くても遅くてもタチウオがテンヤを離してしまいます。巻き上げスピードが遅い場合は、『コンコンコン』という反応が返ってきます。反対に巻き上げスピードが速いとタチウオの重みを手に感じ取れますが、このタイミングで合わせてもタチウオは掛かりません。

– – このタチウオを獲るには、かなりシビアなテンヤコントロールを要求されますね。

金森 : タチウオが咥えたテンヤを離さないスピードを見つけて食い込むまで上層に誘い続けなくてはなりません。巻き上げスピードも個々のタチウオによって違いますので、この微細なモタレ察知するには『SMT穂先』を採用した「極鋭シリーズ」がどうしても必要になってきます。

– – この価値あるタチウオを獲った時の達成感は、他に類を見ないものでしょうね。

金森 : もうこれは獲った人にしか分からない感覚だと思います。タチウオ釣りは、幾多の釣法や誘いをベースにテンヤカラーの選択など幾つものピースの組み合わせにより成り立っています。この難解なパズルを組み上げた時の達成感を得るために、私はこの釣りを続けているのかもしれません。

– – 金森さんの目指す場所は、まだ先にありますからね。

金森 : 頑張って目指す場所を勝ち取りたいと思っています。そのための努力は惜しみませんし、今シーズンも本気でタチウオ釣りにぶつかっていきますので応援のほどよろしくお願い致します。

– – 最後になりますが、金森さんにダイワフィールドテスターの先輩であり私の大切な仲間でもある鈴木泰成さん(2018ダイワカワハギオープンチャンピオン)の言葉を送ります。

ファイナルステージに立つ人達は、全員が努力をしています。その甲斐があって結果を残している。「周りをぶっちぎって勝つんだ」というくらいの強い気持ちがないと、結果は得られません。努力には、報われる人と報われない人がいるんです。自分自身の努力が報われるためには、更なる努力をしなくてはならない。普通に努力をしているだけは、掴めないんです。そして、最後の最後は自分の積み上げた努力をどれだけ信じられるかということだけだと思います。だからいくら状況が悪くても、最後まで絶対に諦めないって決めてます。そこで諦めたら今まで必死で頑張ってきたことが全て無駄になってしまうから…


【DOCUMENTS 】

⭐︎S-sense Report (対談記事:魚種マーク赤地)

2024年7月    金森聡:大阪湾テンヤタチウオゲームパーフェクトレクチャー

2023年10月 藤原幸:岡山エリアひとつテンヤ真鯛釣り

2023年1月 西村豪太:極鋭エギタコMH-172 DEBUT
2022年8月 西村豪太:2022エギタコパーフェクトセミナー

2022年7月   西村豪太:極鋭エギタコS-176開発秘話

2022年6月   渕上拓矢:広島エリアひとつテンヤ真鯛釣り

2022年5月   清水恭仁:エギタコSタイプ

⭐︎製品インプレッション (魚種マーク白地)

2023年1月   カワハギX、アナリスターカワハギ

2022年4月 極鋭エギタコS-176

2022年1月 極鋭エギタコS-176

2021年2月 アナリスターエギタコMH-175

2020年7月 アナリスターエギタコS-185(広島)

2016年5月 タコX アナリスターエギタコ

⭐︎フィールド

【船タコ】

2023年7月 明石丸松乗合船

2022年7月   明石丸松乗合船

2019年8月 広島遊漁船Credo 明石丸松乗合船

2019年7月 明石丸松乗合船

2018年5月 明石魚英

2017年8月 明石丸松乗合船 明石東田丸

2017年7月 明石丸松乗合船 明石丸松乗合船 明石東田丸

2017年6月 明石丸松乗合船

2016年8月 明石丸松乗合船

2016年7月 明石丸松乗合船

2016年6月 明石丸松乗合船 明石丸松乗合船

2016年5月 明石丸松乗合船 明石魚英

【ひとつテンヤ真鯛&五目】

2024年7月     鳴門釣船はらまる

2024年2月 泉佐野釣船上丸

2023年11月   明石丸松乗合船

2023年10月  広島愛裕南丸

2021年12月  広島愛裕南丸   広島愛裕南丸 広島愛裕南丸

2021年11月  広島愛裕南丸 広島愛裕南丸

2021年7月    広島愛裕南丸

2021年2月    広島慶丸

2019年10月  岡山テンリュウ

2019年6月    広島慶丸

【カワハギ】

2023年12月   岡山遊漁船黒崎観光&エターナル

2023年11月   広島豊和丸

2023年10月   広島豊和丸

2022年12月   広島慶丸 和歌山三邦丸

2022年11月   和歌山かるも丸

2021年12月   広島慶丸

2020年12月   広島倉橋島

2019年12月   徳島阿南極鋭西日本例会(極鋭四国)

2019年11月   和歌山三邦丸第二回ダイワカワハギパーティー

2018年9月     高知フィッシング今井ロマン号

和歌山三邦丸第一回ダイワカワハギパーティ

2018年6月     和歌山加太カワハギクラブ

2017年12月   和歌山加太カワハギクラブ

2017年10月   2016KANSAI PRIDE FINAL

2017年5月     和歌山加太カワハギクラブ

徳島阿南カワハギ大会

2017年3月     和歌山栖原おいしんぼCUP

2016年10月   2015KANSAI PRIDE FINAL 

2016年9月     和歌山三邦丸 和歌山加太カワハギクラブ

2016年7月     2015KANSAI PRIDE

2016年5月     加太KAWAHAGI FESTA 和歌山かるも丸

【その他魚種】

2020年3月     広島Credヒラメ

2019年7月     島根浜田莉恭丸イカメタル

2018年8月     島根浜田莉恭丸イカメタル

2017年9月     明石丸松乗合船のませ釣り

2016年8月     兵庫みなみ淡路海伸丸落とし込み

⭐︎イベント

2019年2月     フィッシングショー大阪

2018年2月     フィッシングショー大阪