SSR-5 極鋭エギタコMH-172 INFORMATION / 西村豪太 X 清水恭仁
第5回目の「S-sense Report 」は、西村豪太さんをゲストに迎え、2023年1月20日に公開された「極鋭エギタコMH-172」についてお聞きしたいと思います。
西村豪太 / 幼い頃より釣りを始め、カワハギ、タチウオ、船タコ、鮎などテクニカルな釣りを得意とし、各種大会で好成績を残している。グローブライド(ダイワ)フィッシング営業本部所属 東京都在住 1985年生
– – 2023年1月。「極鋭エギタコS-172」から遅れること一年、遂に「極鋭エギタコMH-172」の全容が公開されました。昨年8月に投稿した「船最前線ブログ」の下記言葉から「MH調子」の発売を予測されていた方も多いのではないでしょうか。
◆船最前線ブログ S-sense Report 4より抜粋
「釣果を安定させる上で、調子の違うロッドを使い分けるということは非常に有効な手段となり得ます。そういう意味において、私どもにはまだ課題が残っているのかもしれません」
◆船最前線ブログ SSR-4 2022エギタコパーフェクトレクチャー
– – それでは、最初に「極鋭エギタコMH-172」発売に至る経緯をお聞かせください。
西村: 社内に「極鋭エギタコ」投入可否に対する意見があった事はさておき。初期の企画段階で一番悩んだのは、ど真ん中の調子を狙った一種類のロッドとするのか、それとも調子の違う二種類のラインナップとするのかということでした。
– – 昨年のインタビューで、「そもそも船タコ釣りに極鋭シリーズを投入する必要があるのか?」のという声が社内にあったとお聞きしました。調子が違う二種類のロッドを企画するとなると、かなりの労力を費やされたと想像します。
◆船最前線ブログ SSR-3 極鋭エギタコS-176開発秘話
西村: 現代のエギタコシーンにおいて、全てのシチュエーションを単一の調子でカバーする事は不可能です。テスターさんと新しいロッドを仕上げるにしても、単一調子だけでは語りきれないという事も分かりきっていました。最後の最後は、「エリアでの皆さまのお声を糧に、真摯にものづくりと向き合いたい」という自分自身の素直な気持ちを信じて企画を押し通しました。
– – 情報を開示する事は出来ませんでしたが、2021年兵庫県明石テストの時には「MH調子」のテストロッドが既に持ち込まれていましたね。
西村: 当日は「S調子」の仕様に関するテストが中心でしたので、「MH調子」は、今後の開発に向けたパイロットロッドとしての役割です。
– – 「MH調子」のテストロッドを林良一テスターと一緒にチェックをしましたが、その時点ではハイパフォーマンスを宿命づけられた「極鋭シリーズ」に見合うスペックにはまだ至っていなかったというのが率直な感想です。
西村: 本格的なテストは、2021年秋に行った茨城県日立でのテストですね。4本のテストロッドを持ち込み、その後、林テスター、清水さんと私の三人で「極鋭エギタコMH-172」の仕様を決定しました。2014年春、清水さんと二人で開発を行なった「タコX」から八年。幾多の困難もありましたが、ここまでたどり着けたのは、エリアの皆さまの後押しがあってのことだと感謝をしています。
– – ここで、一つお伝えしたいことがあります。ダイワエギタコロッドの大半は、「S調子」と「MH調子」の二種類の調子をご用意しています。今回発表された「極鋭エギタコMH-172」の開発経緯からお分かりになるように、我々は先行発売品をベースとして安易に調子を変えただけの後発品を作っている訳ではありません。ロッドコンセプトに応じて多数のテストロッドを製作し、幾多のテストを重ねて一つの製品が生み出されます。
◉タコX
西村: そして、この「極鋭エギタコMH-172」を発売するにあたって、私の中に一つの思いがありました。それは、全ての始まりである明石で清水さんと最終確認を行いたいという思いです。
– – それが実現したのが、2022年7月に開催された「極鋭西日本エギタコパーティー」の場でした。
西村: 清水さんが左舷艫近くの釣り座で、隣がダイワスタッフの菊池さんでしたのでこっそりテストするには好都合でした(笑)。
当日の実釣動画は、こちらからご覧いただけます。
– – 当日の水深も4メートルから30メートルとこの時期にしては幅広く、潮の流れも多彩で多くの事をチェックすることが出来ました。「極鋭エギタコMH-172」は、スパルタンな性格でありながらも、「スーパーメタルトップ穂先(以下SMT穂先)」が上手くバッファの役割を果たし、どのようなシチュエーションにおいても非常に扱いやすいと感じました。
西村: そこは、「SMT穂先」の柔軟性が効いています。カーボンなどのチューブラー穂先だとバスロッドのような硬いだけのロッドになってしまいますからね。
– – この「極鋭エギタコMH-172」は、硬調ロッドにありがちなエギを『動かす・止める』というタイミングで手に感じる突っ張るような違和感がないんです。エギの初動から制動期にかけての誘い操作で発生する穂先反発力を上手く「SMT穂先」が吸収し、素直な操作性を実現していると感じました。
西村: ハードなイメージが先行するモデルですが、実際に使っていただくと『思ったより扱いやすく、誰もが簡単にエギを操作出来るロッド』だと実感していただけると思います。
– – ただ、このロッドの本質はそこじゃないですよね。
西村: おっしゃる通り。このロッドに求めたのは、「究極の感度と操作性」です。頭でイメージするエギの動きをロッドを通して如何にタイムラグ無くエギに伝えるか。ハイレスポンスでハードな誘いを可能とした「極鋭エギタコMH-172」の異次元の世界観を是非体感していただきたいと思っています。「極鋭エギタコMH-172」は、自らの手で誘いを演出し、より刺激的にターゲットを攻略したいというユーザーの皆さまへの私どもからの回答です。
◆ZERO_SEAT
、
– – 続いて、「S調子」と「MH調子」の使い分けについてお聞きします。
西村: 端的な例を挙げると「極鋭西日本エギタコパーティー」の時、テスト外で清水さんが使っていたロッドは「アナリスターエギタコMH-175」だったと記憶しています。何故、清水さんがそのロッドを選択したかということが、全てを言い表わしているのではないでしょうか。
– – 先ず当日の状況をご説明すると、タコからのコンタクトが非常に少ない状況でした。そして、仕掛けが着底したポイントに向かって船が流れていく状態でしたので、誘いを入れてもリサーチを出来る範囲が限られていたことが挙げられます。そこで、着底した地点で激し目のシェイクやリフトアンドフォールを繰り返し、エギをアピールすることで近くに潜むタコを誘い出そうとしました。その誘いを表現するためにセレクトしたのが、「MH調子」のロッドです。
西村: 横で清水さんの釣りを拝見していると、着底後かなり早いタイミングでタコが乗ってきていましたね。
– – カワハギやマルイカにも共通しますが、エギやスッテを魅せるという行為が、個体数が少ない状況ではかなり有力な手段になりうると感じます。
西村: その誘いを構築するために必要としたが、「MH調子」のロッドだったというわけですね。
– – そうです。西村さんも同じようなアプローチですか?
西村: 私の釣座は、清水さんの反対の舷でしたので仕掛けが船に引っ張っられる感じでした。エギのアピールと同時にタコを乗せるステイタイミングを確保するために「極鋭エギタコ S-176」をメインロッドとして使用しました。
– – 大型船は、小型船と比較して船を流す(流される)スピードが速いため、タコがエギにアプローチをするためのステイタイムを作り出さなくてはなりません。私が西村さんと同じ舷に乗船していたら、「S調子ロッド」をセレクトし同じ様な釣り方をしていたと思います。船座、ポイント、水深、潮の強弱や流れる方向など、その時々の条件によって最適なロッドというものは変わってきます。
西村: 一本のロッドでは、どうしてもアジャストしきれない場面が出てきます。どの魚種にも共通しますが、どの釣りでも極めていくとタックルがどんどん細分化の道をたどります。
– – テンヤの時代から「軟調子」と「硬調子」のロッドを状況により使い分けていましたので、西村さんのおっしゃる「アジャストしきない場面」という言葉の意味がよく理解出来ます。
西村: 季節にもよりますが、明石エリアのポイントとなる水深は4メートルから80メートルと非常に幅が広いんです。そして、ポイントによって潮の強弱が違うなど非常に複雑な海域ですから、一つの調子で全てをカバーするにはちょっと無理がありますね。
– – エギタコロッドとして「極鋭エギタコ S-176」はど真ん中の調子ですが、シーズン初期の水深50メートルを越える深場のポイントなどでは期待する性能を満たせない場面も出てきます。また、明石エリアでは乗船する船によって船の流し方が異なりますので、乗船する船にマッチしたロッドを選択しなくてはなりません。
西村: 相対的に大型船は結構なスピードで流れますが、小型船は流しが遅かったりピンポイントで船を停めたりします。小型船では、キャストをしてラインスラッグを利用しながらエギにアクションを加えるような釣り方が効果的ですから、柔らかめの調子のロッドよりエギを意図的な動かせる強い調子のロッドの方が好適であると考えます。
– – 明石の大型船や浅場で扱いやすいオールマイティロッドとしての色合いが濃い「極鋭エギタコS-176」と、釣り人が意図的に仕掛け(エギ)の動きをコントロールする「極鋭エギタコMH-172」。どのエリアに釣行(常磐80号錘使用エリアは除く)してもどのポイントに入っても、この二本があれば季節を問わず対応が出来そうな気がします。ただ、普通に生活している方々が、この二本を一気に購入するのはなかなか予算的に難しいと感じます。
西村: 初めての一本として「極鋭エギタコシリーズ」の購入を検討されるのなら「極鋭エギタコ S-176」を私はお勧めします。理由として、この一本である程度のシチュエーションに幅広く対応出来ること。そして、船タコ釣りの基本中の基本である『ボトムトレース能力』に特化したセッティングを施しており初心者の方でも扱いやすい調子としていることです。二本目以降のロッドとして「極鋭シリーズ」を検討される場合は、現在お持ちのロッドと違う調子を選択し、釣りの幅をさらに拡げて船タコ釣りを今以上に楽しんでいただきたいと思っています。
– – 私が船タコ釣りを始めた2007年と比較するとタックルは百花繚乱。多くのメーカーがこの分野に進出をしています。ユーザー目線として選択肢が増えることはありがたいが、同時に多くの迷いを生み出しています。その解決策として、我々は個々のレベルや価値観に応じた幾多のタックルを開発してきました。ここには現状に満足することなく製品を更なる高みに向かわせようとするテスター陣と、同じ想いでその志を実現させようとしたメーカースタッフが存在します。我々は、作り手であると同時にエリアの皆さまと同じ一人のユーザーという気持ちをいつも心のどこかに持ち製品開発に挑んでいます。個人のためのワンオフロッドではなく、誰もが感動し気持ち良く扱える製品をエリアの皆さまと一緒にこれからも創り出していきたいと思っています。
西村さんが冒頭で述べた「エリアでの皆さまのお声を糧に、真摯にものづくりと向き合いたいという自分自身の素直な気持ちを信じて企画を押し通しました」という言葉。この言葉が、すべてを表しているのではないでしょうか。
【DOCUMENTS 】
⭐︎S-sense Report (対談記事:魚種マーク赤地)
2022年7月 西村豪太:極鋭エギタコS-176開発秘話
2022年6月 渕上拓矢:広島エリアひとつテンヤ真鯛釣り
2022年5月 清水恭仁:エギタコSタイプ
⭐︎製品インプレッション (魚種マーク白地)
2023年1月 カワハギX、アナリスターカワハギ
2022年4月 極鋭エギタコS-176
2022年1月 極鋭エギタコS-176
2021年2月 アナリスターエギタコMH-175
2020年7月 アナリスターエギタコS-185(広島)
2016年5月 タコX アナリスターエギタコ
⭐︎フィールド
【船タコ】
2022年7月 明石丸松乗合船
2019年8月 広島遊漁船Credo 明石丸松乗合船
2019年7月 明石丸松乗合船
2018年5月 明石魚英
2017年6月 明石丸松乗合船
2016年8月 明石丸松乗合船
2016年7月 明石丸松乗合船
【ひとつテンヤ真鯛】
2021年7月 広島愛裕南丸
2021年2月 広島慶丸
2019年10月 岡山テンリュウ
2019年6月 広島慶丸
【カワハギ】
2022年11月 和歌山かるも丸
2021年12月 広島慶丸
2020年12月 広島倉橋島
2019年12月 徳島阿南極鋭西日本例会(極鋭四国)
2019年11月 和歌山三邦丸第二回ダイワカワハギパーティー
2018年9月 高知フィッシング今井ロマン号
2018年6月 和歌山加太カワハギクラブ
2017年12月 和歌山加太カワハギクラブ
2017年10月 2016KANSAI PRIDE FINAL
2017年5月 和歌山加太カワハギクラブ
2017年3月 和歌山栖原おいしんぼCUP
2016年10月 2015KANSAI PRIDE FINAL
2016年9月 和歌山三邦丸 和歌山加太カワハギクラブ
2016年7月 2015KANSAI PRIDE
2016年5月 加太KAWAHAGI FESTA 和歌山かるも丸
【その他魚種】
2020年3月 広島Credヒラメ
2019年7月 島根浜田莉恭丸イカメタル
2018年8月 島根浜田莉恭丸イカメタル
2017年9月 明石丸松乗合船のませ釣り
2016年8月 兵庫みなみ淡路海伸丸落とし込み
⭐︎イベント
2019年2月 フィッシングショー大阪
2018年2月 フィッシングショー大阪