SSR-3 極鋭エギタコS-176開発秘話 / 西村豪太 X 清水恭仁
第三回目の「S-sense Report 」は、西村豪太さんをゲストにお迎えし二回に分けて「極鋭エギタコS-176開発秘話」と船タコ釣りを始めてみたい方から上級者向けの個々のレベルに合わせたお勧めタックルの紹介、常磐から天草におけるエリア特性に応じた釣り方などをお聞きします。
西村豪太 / 幼い頃より釣りを始め、カワハギ、タチウオ、船タコ、鮎などテクニカルな釣りを得意とし、各種大会で好成績を残している。グローブライド(ダイワ)フィッシング営業本部所属 東京都在住 1985年生
– – 早速ですが、今春発売された「極鋭カワハギS-176」についてお聞きします。2022年1月の船最前線ブログにも記述してますが、「極鋭エギタコ」発売という想定外の展開に私自身かなりの衝撃を受けました。
西村: 各地のフィールドを周る中で、多くの方々から「極鋭シリーズ」の発売を待ち望む声をお聞きしていました。ユーザーの皆さまの大きな期待を受ける一方、ダイワは関東にある会社でもあり「本当に船タコ釣りに極鋭シリーズが必要なのか?」という意見が大半を占めていたことも事実です。
– – 私もメーカーに勤務してますが、市場の声だけでメーカーは動きません。損益に対する数値的データや拡販の目処。この商品を発売することにより、将来的にどれだけの優位性を市場で得られるかなど、そこをクリアにしないと発売には至ません。
西村: 基本的には、どれだけ売れるかなんですよね。社内の「船タコ釣りに極鋭いるのか?」という声に「必ず売れます。西村が売り切ります」と言い切りなんとか開発に漕ぎ着けました。かなり高い目標本数でしたが、発売前からとんでもない本数のバックオーダーをいただくことができました。本当に感謝の一言しかありません。
– – 私の中でも想定外であった「極鋭エギタコ」が発売となった展開の裏話ですね。最後は、個人の情熱が企業を動かす。西村さんの果たした役割は、大きかったと思います。ちょっと持ち上げ過ぎましたか?(爆)。続いて「極鋭エギタコ」を開発するにあたり、主眼においた事項をお聞かせください。
西村: 船タコ釣りのロッドには、求められるいくつかの基本スペックがあります。小突き易さ、感度、パワーは当然として、今回船タコ釣りのハイエンドモデルとなる「極鋭エギタコ」には「軽さ」というエッセンスを加えたいと思いました。
– – 大きな役割を一端を担ったのが、ゼロシートですね。
西村: 真夏に一日中小突き続けるエギタコ釣法において「軽さ」は、釣果に直結する重要な要素です。私が設計陣に求めた自重は、アンダー100グラム。ある程度の強度を必要とするエギタコロッドにおいて、不可能ともいえる驚異的な数値です。この要求に対しブランクスの見直しやガイド、新たなリールシートの投入、グリップ部の改良などで設計陣は応えてくれました。
– – 今回発売された「極鋭エギタコS-176」は、全ての要素が高次元で融合されていると感じます。初心者の方から上級者まで、どのレベルの方が使っても扱いやすい調子に仕上がってます。やはり「スーパーメタルトップ(以下SMT)」の恩恵が、大きいのではないでしょうか。
西村: いろんな素材がありますが、「極鋭調子」と言われる独特の調子は「SMT」以外の素材では作り出せないですね。「メタリアシリーズ」に使用している「メタルトップ(以下MT)」と芯金は共通なんですが、カーボンのテーパーを付ける付けないで感度と調子に差が出ます。感度では、手感度はそう変わりませんが、目感度については「SMT穂先」の方が「MT穂先」よりさらに表現が豊かになっています。「MT穂先」は、スローテーパーになりやすいので、清水さんが好むような穂先がきゅっと曲がる調子を作り出すことができません。
◉X45ブランクス
– – カーボンやグラス素材だと誘い操作時にコントロール支点が手前に逃げてしまうんですよね。それによりコントロール性が落ちてしまいます。
◉ダイワ船最前線ブログ 極鋭エギタコ INDOOR IMPRESSIONS
西村: おっしゃるとおりです。また「極鋭エギタコS-176」に設定した「SMT」と「AGS」の相性が思った以上に良く、ブランクスの見直しを含めしなやかなでありながらも軽くてパワーに満ち溢れた調子を作り出すことができました。
– – 個人的な見解ですが、ダイワのエギタコロッドの中で「極鋭エギタコS-176」が一番素直で扱いやすい調子だと思っています。そして、ただ単に扱いやすいだけのロッドではなく、抜群の性能を有している。
西村: まさしくおっしゃるとおりです。私にとっても、今一番のお気に入りロッドです。面白い話なんですが、「極鋭エギタコS-176」のテストをした時、テスター間でロッドの取り合いになっちゃいまして…(笑)。「もうそろそろ回してください」って言っても「もう一匹釣らせて」と誰も離さない。閉店前の居酒屋みたいになっちゃいました(爆)。
– – 九州エリアでも「極鋭エギタコS-176」は、人気があるとお聞きしてます。
西村: 売り切れたという情報も入っいます。
– – 関西エリアでも、かなり入手が困難な状況になってきています。懇意にしている在阪釣具店では、単一店舗であるにも関わらずかなりの本数を売り上げていただいたそうです。このロッドの情報がオープンになった時、かなりの反響をいただきました。皆さまの大きな期待の声を久しぶりに感じることが出来たロッドです。
西村: 総てに納得をして、自信を持ってお勧めできる一本となりました。数年前、明石で釣りが終わった後、ここで清水さんと二人で盛り上がったことが起点となって実現することが出来た逸品ですよね。
– – まあ盛り上がってはいたけど、「極鋭エギタコ」なんて絶対に出さないと思っていたけどね(笑)。さすが西村さんでございます(爆)。
西村: 私自身エギタコの本場は明石だと思っているので、明石エリア最盛期の浅場で使いやすいセッティングを清水さんと二人でチューニングしました。案外他のエリアでも扱いやすい王道調子に仕上がってます。
– – ロッドテストをしていて、いつも思う事があります。いつもひとつのロッドを作り出す時、調子の違うテストロッドを数本持ち込みますが、そのどれもが素晴らしい出来栄えなんですよね。そこには、大きな理由があるような気がします。
西村: 2004年秋に「SMT」穂先を搭載したエポックメイキングなロッド、「極鋭カワハギ1342、1455」が発売されました。それから17年という年月が過ぎ去り、その間に蓄積されたダイワのマテリアルに関する技術的財産は非常に大きいなものだと感じます。またカワハギロッドを起点し、いろんな調子のロッドを作り出してきたという実績が、他魚種用ロッドを作り出す場合に役立っています。
– – 個人的な見解を話させていただくと、もう一つ大きな理由があります。船釣りに関してダイワというメーカーは、基本的にフィールドテスターだけに頼ってはいないという点です。ダイワは、開発スタッフに西村さんや宮澤さんなど、超一流のアングラーを社内に抱えている。こんなメーカーは、そうそうありません。おそらく設計段階における指示に関しても明確でブレがないような気がします。マテリアルに関する知見が高く、一流のアングラーが設計に関わったロッドが外れる訳がないんですよ。
西村: ははは、褒めすぎです(笑)。しかし清水さんの言葉を借りるなら、釣りを深く理解している人間が作り出したロッドを、最終的に超一流のフィールドテスターの手に委ねて選ばれたロッドが世に出るということです。間違いないですよね。
– – 西村さんと一緒に「タコX」開発を始めたのが、2014年の冬でした。そして、七年半の歳月をかけて「極鋭」まで辿り着くことが出来ました。十数年前、関西カワハギトーナメンターを中心に推し進めた「ライトタックルコンセプトオクトパスゲーム」。この「極鋭エギタコS-176」の発売をもって、ひとつの形が実現出来たと思っています。他素材を使う限りどのようなテクノロジーを持ってしても作り出すことが出来ない独特の調子。この「極鋭調子」があったからこそ、今の私が在ると実感します。そして西村さんとの出会いは、自分にとって大きな財産です。
西村: そんなに持ち上げても何も出ませんよ(笑)。持ち上げるのは、タコだけにしておいてください(爆)。
2014年11月1日:丸松乗合船にて
初めて出会った時のワンショット。私が、丸松カワハギグランプリのお手伝いで中乗りをしていた時、西村さんが選手として参加をしていました。私は、極度の人見知りなので「写真撮らせてください〜」以外の会話はなし。撮られる方の笑顔も硬いわ(笑)。
◎第二部、船タコ釣りを始めてみたい方から上級者向けの個々のレベルに合わせたお勧めタックルの紹介、常磐から天草におけるエリア特性に応じた釣り方に続く。
S-sense Report (対談記事:魚種マーク赤地)
2023年1月 西村豪太:極鋭エギタコMH-172 DEBUT
2022年8月 西村豪太:2022エギタコパーフェクトセミナー
2022年7月 西村豪太:極鋭エギタコS-176開発秘話
2022年6月 渕上拓矢:広島エリアひとつテンヤ真鯛釣り
2022年5月 清水恭仁:エギタコSタイプ
製品インプレッション (魚種マーク白地)
2023年1月 カワハギX、アナリスターカワハギ
2022年4月 極鋭エギタコS-176
2022年1月 極鋭エギタコS-176
2021年2月 アナリスターエギタコMH-175
2020年7月 アナリスターエギタコS-185(広島)
2016年5月 タコX アナリスターエギタコ
フィールド
【船タコ】
2022年7月 明石丸松乗合船
2019年8月 広島遊漁船Credo 明石丸松乗合船
2019年7月 明石丸松乗合船
2018年5月 明石魚英
2017年6月 明石丸松乗合船
2016年8月 明石丸松乗合船
2016年7月 明石丸松乗合船
【ひとつテンヤ真鯛】
2021年7月 広島愛裕南丸
2021年2月 広島慶丸
2019年10月 岡山テンリュウ
2019年6月 広島慶丸
【カワハギ】
2022年11月 和歌山かるも丸
2021年12月 広島慶丸
2020年12月 広島倉橋島
2019年12月 徳島阿南極鋭西日本例会(極鋭四国)
2019年11月 和歌山三邦丸第二回ダイワカワハギパーティー
2018年9月 高知フィッシング今井ロマン号
2018年6月 和歌山加太カワハギクラブ
2017年12月 和歌山加太カワハギクラブ
2017年10月 2016KANSAI PRIDE FINAL
2017年5月 和歌山加太カワハギクラブ
2017年3月 和歌山栖原おいしんぼCUP
2016年10月 2015KANSAI PRIDE FINAL
2016年9月 和歌山三邦丸 和歌山加太カワハギクラブ
2016年7月 2015KANSAI PRIDE
2016年5月 加太KAWAHAGI FESTA 和歌山かるも丸
【その他魚種】
2020年3月 広島Credヒラメ
2019年7月 島根浜田莉恭丸イカメタル
2018年8月 島根浜田莉恭丸イカメタル
2017年9月 明石丸松乗合船のませ釣り
2016年8月 兵庫みなみ淡路海伸丸落とし込み
イベント
2019年2月 フィッシングショー大阪
2018年2月 フィッシングショー大阪