アングラー:福田 豊起


BLOG TOP 福田 豊起の記事一覧
福田 豊起さんの記事
2020.10.23

相模湾コマセキハダ ビッグファイト

今シーズン相模湾のコマセキハダも後半戦。場所はまだ小田原沖。小田原沖と言えば昨シーズンは50キロを超える小田原モンスターが姿を見せ話題になった。今シーズンはさらなる大型も上がっている様子。10月21日内房勝山港萬栄丸さんからのチャレンジとなった。

今回のタックル

ロッド:マッドバイパースティング175

リール:シーボーグ800MJ

PE:UVFメガセンサー12ブレイドEX+Si 8号

朝6時前に港を離れ遥か西の小田原沖を目指す。航程1時間40分ポイントに到着。急深な海域とは言え小田原沖のポイントはキハダを狙うとは思えないほど岸に近い。

キハダ狙いも後半戦だけあって釣りのスタイルはいわゆる流し込み。シーズンの前半は移動するキハダの群れを追いかけて船を走らせ、群れの先回りをして投入を繰り返す釣り方。それに対して流し込みのスタイルでは一流しのインターバルはかなり長い。タナも深いのが特徴。当日は60メートル前後であった。

私は左舷胴の間中央に釣り座を構えた。流し込みの釣りでは胴の間が私のお気に入り。

流し込みの釣りはコマセマダイと共通する点が多い。深いタナにいるキハダをコマセで浮かせて食わせるイメージ。そのため船長さんの指示するタナを正確に守ることが大切。また定期的にビシを打ち直してコマセを絶やさないように心がける。

ハリスも追っかけの釣りよりも長くする場合が定石。当日私は26号10メートルでスタート。指示ダナよりも5メートル余分にビシを沈め、コマセを振りながら指示ダナにあわせる。タナ取り時もビシを下げ過ぎないのはキハダはビシを嫌う傾向があることに加え、あまり下でコマセを撒くとキハダの浮きが悪くなるため。まさに春のコマセマダイの要点といっしょだ。

船長さん達の無線を聞いていると、朝のうちはサメのヒットが多い様子。本船でも朝一のヒットはサメの直食いであった。

何度か小移動をしつつコマセを撒き続けていると、キハダらしき反応が船に下に近づいてくる場面が増えてきた。こんな時は船長さんがアナウンスしてくれるので集中したい。

ちょうど私がビシを打ち直してコマセを振りつつタナを取っている時に、船長さんから反応が入って来たとのアナウンスがあった。タナを取ってしばらくするとコツコツと穂先にシグナルが来たと同時にスティング175大きく曲がった。すかさずアワセを入れる。始めは大した手応えがなかったので一瞬カツオ?とも思ったがすぐにドラグが勢いよく滑り出した。

この時のドラグは約8キロ。片手では中々ラインを引き出すことが難しい位のドラグテンション。アタリを待つ段階では緩めのドラグで待つ釣り人も多いが、私は以前からキツめのドラグを多用している。この方が飲まれ切れが少なくキハダの口の良い部分にフッキングする気がするからだ。

ファーストランは約100メートル。きつめのドラグテンションを嫌がっているのか、ここからさしたる抵抗を見せずにポンピングのリフトを受け入れて、早くもこちらに頭を向ける気配を見せた。ここで、マグロリングを投入。上げ頃の30キロ弱サイズか?と思われた矢先、嫌がるそぶりを見せ始めた。

すると間もなくセカンドランで200メートル出されてしまった。このドラグテンションで易々と突っ走っていく。だが、これは私の想定内。サイズが大きいのであれば、ある程度走らせて水温の低い深海で弱らせてから、一気に勝負を決めるイメージでヤリトリをする。松井船長さん、助手の谷さんともになかなかのサイズと確信したようだ。

なにぶんサメの多い海域ゆえにヤリトリ時にキハダを襲うサメにどう対応するかは大切。サメの多い50メートルより浅い水深をいかに早く巻き上げるかがポイントだ。

昨年、体験した大型のキハダは走りは30キロ級と変わらないものの、その圧倒的な重量感に驚かされた。水中で大きな円を描いて回っているのであろう、一定の水深で踏ん張りだすと本当に上げることが大変。必死のリフトを25分間繰り返したが、最後は高切れでロストしてしまった。今回は一年越しにその轍を踏むわけにはいかない。

再び100メートルを切ると今度は例の踏ん張りを始めてしまった。スプールを手で押さえてリフトしてプレッシャーを掛けるが頭をこちらに向ける様子がないばかりかジワジワとラインが出ていく。どうやらこの上にサメがいてそれを嫌がっているのかもしれない。

そう思った矢先、みたび猛烈に走り始めた。今回はとうとう350メートル以上出されてしまった。サードランとしてはまさに脅威的と言えよう。

この時点でファイトタイムは約20分に迫る。それにしてもシーボーグ800MJはタフだ。そのモーターとATDの性能に甘えて、あるていど電動巻き上げを入れたままのファイトをしてしまったが全く音を上げる気配が無い。DAIWAがアウトモーター構造にこだわる理由が頷けると言うもの。モーターの冷却性能ゆえの圧倒的なタフさだ。

ここで勝負を賭けることを心に決める。ドラグをさらに締め上げて、キハダが頭をこちらに向ける気配を見せたタイミングで一気に巻き上げに掛かる。

マッドバイパースティング175とも3シーズン目。そのパワーには全幅の信頼を寄せている。魚の引きをタメる場面では曲がりの支点が比較的手前にあるので体力のない人にも楽に耐えることが出来る一方で、バットのパワーは強大。私の渾身のリフトを余裕をもって受け止めてくれる。ここからは1ストローク2メートルずつで間合いを詰める。

長時間のファイトゆえ、もちろん私の疲労もたまっていく。そこで、ロッドを持つ手を左右かえて疲労の分散させる。シーボーグ800MJがジョグパワーレバーであるがゆえに出来る芸当だ。

残り80メートルを切ってさらにリフトのペースを上げる。すっかり抵抗が弱くなった。この時はマグロリングが効いていたと思っていたのだが…さらにペースを上げて水面へ。

残念ながら上がって来たのは無残に下半身をサメに取られてしまったキハダ。サメに襲われた場合はそれらしい手応えがあるものだが、私も松井船長さんも全くその気配を感じなかった。最後のリフトのどこかで襲われたであろう。私としてはサメ対策が上手く行ったと思ったのだが、サメの方が一枚上手であったようだ。少しだけほろ苦い勝利となってしまった。

動きが止まったのはマグロリングが効いたのではなくサメにやられたからだったとは…上がって来た時は残念ながらリングを口に咥えている禰豆子状態であった。

だが、デカい!これだけでも計量が楽しみだと松井船長さんと盛り上がる。

この後、私の隣の方がヒットさせるも高切れでロスト。終盤に反対舷で30キロ級のキハダが完全体でキャッチされてこの日は終了。メガヒット3発と、アタリの無かった船も多い中、かなり渋い日にあって松井船長さんの勘が冴えた一日となった。

帰港後、計量するとこの状態かつエラ、ワタ抜きで37キロもあってビックリ。

私の相模湾キハダの最高が36キロであったのでこの状態で、一キロ更新となってしまった。

それにしても食われた部分が2割引きと考えて40キロ後半、3割引きとしたら…いずれにしても小田原モンスターに迫るサイズであろうことは間違いなさそうだ。いやいや、釣りにタラレバは禁物。素直にビッグファイトを楽しめたことを嬉しく思うことにしよう。