アングラー:福田 豊起


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福田 豊起さんの記事
2018.6.15

ライトカモシでマダイの荒食いを堪能

台風5号が接近した6月11日。翌日にライトヒラメ釣行をもくろんでいた私は、願いかなわず意気消沈。だが、海を直接見ると大した時化ではない様子。もしやと思いダメもとで勝浦松部港の和八丸さんに電話すると12日はカモシ釣りに出船予定との事。カモシ釣りのメインターゲットであるヒラマサは沖を通る台風が起爆剤になって釣れ始めることがよくあるもの。俄然気合の釣行となった。

この日の釣り人は私を含めて4名。四隅に分かれて釣り座を構える。左舷ミヨシに私、もう一方左舷トモの片はノーマル、ライト両タックルを持ち込んでいる。どうやらデフォルトはライトタックルのようだ。右舷はミヨシとトモの釣り人と胴の間に弟船長さんが竿を出す。私はヒラマサ狙いでスタート。他の釣り人は一昨日のマダイの好模様を意識してマダイ狙いのようだ。5時に港を離れる。

ポイントは御宿沖の三本松。いざ港から出てみると拍子抜けするほどの凪。夜までのウネリと雨の影響か、泥濁りを含んだ水色が台風の通過を物語る。心配された水温の低下もなく、期待が高まる。

この日のタックル

ロッド:ゴウイン落とし込みS-210J

リール:シーボーグLTD500J

PE:メガセンサー12ブレイドEX+Si

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私はヒラマサの爆釣を意識したため、いわゆるカモシ釣りのノーマルスタイルであるオモリ100号とカモシ袋の組み合わせにハリス8号4ヒロ(6メートル)でスタート。春のカモシ釣りではもっとハリスを長めに取る場合が多い私だが、潮の流れが緩いことと、ここ最近は短いハリスに好反応をしめすとの船長さんのアドバイスを頂いたため短めでスタート。エサもムギイカをチョイス。食いが良い様ならハリスをガッツリ太くしてガチンコファイトと意気込んだ。

春のカモシヒラマサの場合私は、落とし込み用の竿を好んで使っている。仕掛けを安定させ食い込みを促すしなやかな穂先とヒラマサの強烈な突込みを受け止め、頭をこちらに向ける強靭なバットを兼ね備えているからだ。春の場合タナが高く、根ズレのリスクがやや低いので竿の曲がりを楽しめるややしなやかなモデルを持ち込んだ。

リールは前回同様シーボーグLTD500J。ドラグ性能、巻き上げ力、ジョグの機動力ともに私が全幅の信頼を寄せるモデルだ。

潮の流れは乏しいものの、水色から言ってイカにも食いそうな雰囲気だ。しかし、一流し目は船中アタリなし。エサ取りの気配すらない。時化後は一か八かの博打的要素が高いものだが、悪い方に転んだのかと不安になる。

潮回りとなり魚探反応を探して、しばしクルージングとなったが船長さんは間もなく根の高に良い反応を見つけた。ここからドラマが始まった。

まずはトモのライトタックルの釣り人にマダイらしきがヒット。すぐに右舷でも竿が曲がる。大ダイまではいかないが良型マダイが続々と取り込まれる。一方、イカエサの私にはアタリが無い。一人だけ取り残された形となり、焦る焦る。

この濁りならば?!とハリス8号のままサンマ餌を付けて投入してみるとすぐにヒット!マダイと確信する。マダイと分かっているものの意識がヒラマサモードとなっていたので問答無用の巻き上げをしてしまいハリ穴が広がったのだろうか、船べりでポロリを連続してしまった。だが、投入すればハリスに関係なくすぐにマダイが食ってくる。ハリス8号6メートル、ハリはヒラマサバリの13号にも関わらずだ。

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食べごろサイズを1枚キャッチ。サイズは小さめながら一人前に乗っ込み色のオスダイだ。

マダイメイン、しかも釣り人も少ないとなればライトタックルを是非試したいところ。ありがたい事に船長さんもライトタックルへの変更を促してくれた。竿をキーパーにかけて急いでライトタックルの準備をする。がしかし、その先から竿が曲がってしまう。さらに1枚追加。

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何とかライトタックルのセットを済ませ、いざ勝負。

ライトタックル

ロッド:極鋭ライトヒラメ Ⅿ-212AGS

リール:スパルタンMX IC 150HL

PE:メガセンサー12ブレイドEX+Si 1.5号

ビシ:シャベルビシ速攻Ⅲ M60号

要はライトヒラメに行く予定だったタックルを「もしかして・・・」と思い持ち込んだものだ。だが、このタックルでライトカモシを試してみたかったことは事実。極鋭ライトヒラメ Ⅿ-212AGSはもちろんライトヒラメ専用竿。だがテストの段階からゲームロッドとした場合の潜在能力の高さにコッソリ期待していたのだ。ライトヒラメロッドの持つエサのイワシを安定させるための穂先から穂持ちのしなやかさは。そのままコマセ釣りで仕掛けを落ち着かせることに役立つ。ヒラメの口にしっかりとフッキングさせ、なおかつヒラメをコントロールして暴れさせないバットのパワーはコマセワークとヤリトリのしやすさに直結する。また、ヒラメロッドの特筆すべきその感度はコマセ釣りにおいてもアドバンテージになると考えていたからだ。

リールも心待ちにしていたスパルタンⅯ✕ IC。カウンター付きのロープロファイルリールであるにもかかわらず、そのメタルボディーの高剛性ゆえ、驚くほど巻きが軽く力強い。すでにこのボディーを共用する紅牙バージョンでその巻きの軽さを経験していたので、船バージョンの登場を心待ちにしていたからだ。太ハリスの使用の可能性もあるライトカモシ専用機とするには最大ドラグ力のさらに高いモデルがおススメだが、ポテンシャルの高さを試すにはいい機会だろう。

タックルを変えると同時に先程まで使っていたハリス8号4ピロの先に5号2ヒロを足してハリス長6ピロ(9メートル)として、釣りを再開。カモシ袋にかえて60号Mサイズのシャベルビシ速攻Ⅲに変更。一気にライト感が増す。するとどうしたことか、ハリスを細くしたにも関わらずアタリが出ない。周りの釣り人には相変わらずアタリが続いているにも関わらずだ。またしても、焦る焦る。近年のカモシマダイでは8ヒロが標準になりつつあり6ピロは短めなのだが、よほどマダイがコマセに突っ込んできているのだろう。なんとか、誘いで1枚食わせることが出来たものの、しっくりこない。

取り込みを機にハリスを一ヒロ詰めて攻めてみるものの、イサキのエサ取り加えてカモシ釣りの天敵ゴマサバが出てきてしまったと同時にマダイの食いもスローダウン。だが、ここからこのタックルの真価を体感することになった。

ノーマルのカモシ釣りではイサキのアタリは結構分かりづらいものだ。ロッドが大物にそなえてかなりゴツイせいもあるが、カモシ袋が上下する際のノイズでイサキのアタリを見逃してしまう人もいることだろう。カモシ袋をプラビシに替えただけでも感度と操作感が全く違う。だがそれにもまして、極鋭ライトヒラメの手感度には舌をまいた。イサキのアタリが手元まで来た経験は今まで覚えがない。SMTとフルAGSの組み合わせのロッドをライトカモシで使用したのは初めてだったが、最新のDAIWAテクノロジーのすごさを垣間見た思いだ。それゆえ、エサ取りでのロスタイムが全くない状態で釣りが成立

前半の入れ食いタイムに出遅れてしまった私だが、周りでも渋くなった時間帯から1枚1枚まずまずのペースで確実にマダイを拾ってゆく。

タックルの感度ゆえにマダイのアタリの出方も違いが際立って面白い。誘い上げにカウンタ―で一気に引き込む場合もあれば、手元にモタレを感じてから竿先にアタリが出る場合、誘い下げからストップそしてズドンとこちらの誘いにマダイが応えてくれているようだ。

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ここで感慨深いことが。ライトタックルを使用して、ハリス5号のドラグ設定でのマダイの引きの鋭さには本当に驚かされた。そのダイレクトさは一つテンヤもかくや?!と思わせるほど。一つテンヤの約倍のドラグ設定ゆえだろう、三段引きと呼ばれるマダイの引きが一層際立つのだ。竿サバキで引きをいなし、吸収出来なかった突込みはATDがスマートにサポートしてくれる。スパルタンMX ICにはドラグクリックが付いているのでドラグの滑りを音で察知、楽しむことが出来るのも嬉しい。ダブルハンドルながら、巻き上げ力も期待通りの力強さに頬が緩む。

細ハリスの限界を引き出しドラグを滑らせながらのヤリトリも楽しいが、太いハリスでドラグの滑りを最小限にするヤリトリの魅力も抗しがたいものがあるとカモシ釣りは教えてくれる。

途中、反対舷トモの片が太ハリスイカエサでヒラマサをゲット。船長さんのススメもあり私もしばしヒラマサを意識してみるも、程なくして再びマダイ狙いに戻してしまった。それ程、この日のライトタックルカモシでのマダイ釣りは楽しすぎた。

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2キロオーバーの良型の引きを堪能。今回は大ダイには巡り合えなかったが、このライトタックルでぜひ大ダイとのヤリトリは想像するだけで刺激的だ。

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今回はヒラマサを狙っていたのでクーラーはトランクマスターHD TSS600 を持ち込んだ。その大容量に良型マダイ8枚が御覧の通り。追い氷をして3日間にわたって保管したが、その氷の持ちには驚かされた。夏のカツオ、キハダにも大いに活躍してくれそうだ。

どうしてもヒラマサの回遊や釣り人の人数によってライトタックルの使用が可能かどうか不確定要素が多い現在のライトタックルカモシだが、興味をもって自ら進めてくれる和八丸船長さんの存在は本当に心強い。ノーマル、ライトともに魅力のあるカモシ釣り。釣り人が好みでスタイルを選べるようになればより一層魅力が増すはずだ。