アングラー:林 良一


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林 良一さんの記事
2012.8.23

〈林〉実釣と分析

釣行前までに収集でき得る情報があります。それは、風向や風力などを含めた天気予報、潮汐、水温、水色黒潮の蛇行、釣果情報などです。

それらを複合的に組み合わせ、臨むエリアの攻め方、戦略を立て臨むわけなのです。

ただ実釣では、事前に組み立てた戦略通りに自分の釣りが展開していかない事の方が多いかも知れず、それが予想していた想定内の範疇であれば、その場でのアジャストもしやすい場合もありますが、釣れない原因が不明なとき、船上では対処しきれない状況に陥ってしまい、そうなってしまうとその状況、そのときのタックル、釣り方を記憶して持ち帰り、それらを分析して次の釣行にと繋げるようにしています。

 

例えば・・・

「今日は潮が緩いから夏カワハギ特有の外道も多いだろう。すると、カワハギが宙に浮く時間帯が多いはず!」と、事前情報から予想を立て実際に釣りをしたとします。

船中ポツポツとカワハギが上がりますが、自分には一向にアタリが来ない・・・、仕掛けを上げてみるとエサもそのまま残っている状態・・・

「両サイドの釣り人は集器や中オモリを付けて弛ませているのかな?」と、仕掛けにシンカーを打ちユラユラと誘いをかけてはタルマセを繰り返し、時折外道のアタリは捉えるものの、本命のカワハギからのアタリは皆無の状態・・・、そして、またしても隣の人の竿にはカンカンカンと、明らかにカワハギがヒットした挙動が・・・

ここまで読まれると「そうそう!そういった時があるよね~! それがカワハギ釣りだよね~!!」と感じた方もいらっしゃれば、「そんな時俺ならこうするな! 考えられる原因はきっと・・・」など、早くも状況分析にかかる方もいらっしゃるでしょう。

考えられる原因の一つは底潮が冷えている状態が上げられ、高水温の夏とはいえ、何かの拍子に底潮が冷えてしまえば海底付近に生息するカワハギの活性が著しく低くなってしまうことが考えられます。

そうなるともうエサの早い誘いには乗ってこないばかりか宙には浮かず、ジッと止めているエサをカワハギに食べていただく状態なのかも知れません。

ですから両隣の釣り人は、海中から回収したオモリの温度などでその状態を察知、集器や中オモリは張った仕掛けを「少しだけ揺する」為に使い、そのわずかなエサの振れを誘いとし、その後ゼロテンションでピタリと仕掛けを止めて待ち、カワハギが一瞬鉤の仕込まれたエサを口の中に入れるアタリを察知し、鋭く、そして短く跳ね上げた直後見事な弧を描く竿に答えを見出すのです。

 

釣りには「こうすれば釣れる」は無いと思いますし、「こうしなければいけない」(他の釣り人の迷惑となることはダメですが)も無いと思います。そして、いつも、そして刻々と変わって行く状況下なので明確な答えもなく、それゆえ深く、面白みがあるのではないでしょうか。

 

たとえ釣果が優れなかったとしても、その状況を持ち帰り、「次の釣行に繋がる何か」を分析することが大切だと思っています。