アングラー:林 良一


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林 良一さんの記事
2012.6.15

〈林〉嬉しい出来事

去年3月の未曾有の大震災。思い起こすたびに、被災者の方々はもちろん、その大惨事を知る人全てに黒く重い影となって心の中に鎮座し続けるている出来事だと思います。

そんな中、釣りを通しての被災地援助を行っている団体も多数あり、去年釣り教室のお話をいただきお知り合いになったC.S.C.ナオミさんもその1人でした。

 

そんな彼女は隔週刊つり情報で16年連載を続けている【NOTHING BUT FISHING】に今回、「坂ちゃんと私」というタイトルで、去年の震災以降彼女自身心の揺らぎがある中、やはり釣りを通してのボランティア釣り会をと、以前から彼女が行っていた「チキチキ」で企画、オークションなども開催したのです。

 

その参加者の1人に坂爪さんという方がいらっしゃって、当時の彼女には「チキチキの常連が暖色なら、彼だけは寒色」そして、「どこか違和感のある謎の男」と映っていたようです。

その後彼女はその坂爪さんとメールのやり取りなどを通じ少しずつ接近、彼の職業を知ることになり、「船に乗り海を見れて良かった」という彼に強烈な後ろめたさを感じるのでした・・・

 

そんなナオミさんと坂爪さんが秋に急接近(恋の話しではなく・・・)、それはナオミさんが主催したカワハギ教室で、講師は初めての釣り教室であった僕なのでした。

僕はそれまでお会いしたことの無いナオミさんからありがたいお誘いを受け、ご参加の方も初対面の方が圧倒的に多いその日、ダイワより極鋭シリーズなどのカワハギ竿をお借りし、数日前から自分で考えた台本と首っ引きでイメージトレーニングしてその初日を迎えたのでした。

ここで、単に「釣り」と一言に言っても人によって様々な楽しみ方があり、僕の中での釣り教室は一つの夢と言っても過言ではなかった事柄で、以前に仕立てをした時などもレクチャーと称し、出船前、笑を交えた釣りのHow toなどを皆さんの前でお披露目したものでした。

 

震災による自分自身へのダメージ、社会への、将来への不安を抱きながらのボランティア活動をナオミさんは、「少しも達成感は無かった」と記しています。

でも動いていた、走っていた彼女、そしてそれが正しかったことを坂爪さんの笑顔が証明したとき、きっと彼女の心に鬱積していた心配、懸念、違和感なども堰を切って流れ出したのではないでしょうか。

 

釣りでの達成感、釣りがもたらしてくれる喜び、満足感、充実感。これは全て釣りをしているご自分自身が真剣に釣りをしたからこそ感じ得ることができる、いわば釣りで得られるもっとも大切な部分だと思います。

「釣りをするのは自分自身」。僕はその応援、お手伝いを今後も続けていけたらと思っています。