アングラー:林 良一


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2012.3.27

〈林〉胸空くとき

春は卒業、そして入学のシーズンでもあります。ほのかな別れと出会いを象徴するかのような桜のつぼみもほころび始め、豊潤な空気と共に気温が上がりまた下がりを繰り返す寒暖三寒四温の時期でもあります。

この時期、夜ふと窓を開けると、まだ冷たい空気のその中に、確実に冬とは違った優しい夜風を感じるときがあるものです。

その風は木更津沖で時折頬を打つ夜風に似ていて・・・、そう、毎年待ち焦がれている夜アナゴ釣りで感じる、胸をくすぐる早春の夜風なのです。

 

僕にはこの「風」がそうであるように、皆さんにも釣りをしている情景を心地よく想い出してしまう、ついほくそ笑んでしまう何かの記憶の情景があるのではないでしょうか。

夏の強い日差し、辟易するほどの海面の照り返しにはルアータチウオを・・・ 秋風が冷たく感じはじめる晩秋、息が白く手がかじかんでくるとアサリ剥きを・・・ スキー場が開幕して、寒の最中にはマルイカを想出い起こし・・・・

 

今季はマルイカが安泰の様相、冬から春へと移ろうこの季節、翌年またこのときにマルイカ釣りを自然と想い出せそうです・・・

個人的に好きな湾内の釣り物であるフグも今年は良さそうですし、夜アナゴも、その雰囲気と釣趣、そしてなにより白焼きの美味しさたるや・・・ 「今年は良いといいな」と、一人今宵も夜風に感じています。