アングラー:林 良一


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林 良一さんの記事
2013.1.21

〈林〉厳寒のカワハギ釣り教室

1月20日(日)、大田区羽田のえさ政釣り船店さんにて、【りょうさんのカワハギ釣り教室】を開催いたしました。湾奥出船ゆえポイントは竹岡沖、事前の情報では釣果は中々厳しい様相でしたが、夜も明けきらぬ内からアサリを剥く方も含め18名のご参加をいただきました。本当にありがとうございます。

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日が昇り、陽光が緋から浅黄にかわる頃、恒例の出船前のレクチャー開始です!

今回は冬カワハギを想定しての内容とし、夏→秋→冬のカワハギ釣りの簡単な特徴の後、「冬カワハギの攻略法」と題し、越冬状態で食わせるには、水温低下の意味、暖かな黒潮の影響、動かさないことが誘っているという意味、どのような竿、ハリが適しているか、植物質、動物質両方のエサを食べる鯉を例に取り、水温による鯉の食性の変化の解説の後出船となりました。

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 凪の東京湾を航行しポイントの竹岡沖に到着です。船長の合図で皆さん一斉に釣り始めます。ミヨシ部分に立ち右舷と左舷を見ながらしばらく見守ってみますが、外道からのアタリもないようです・・・

 

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それではと、状況を見るために一回りしてみましたが、上げ潮止まり付近の時間帯にもかかわらず潮色は濁り。回収するオモリも冷たく、あと数~十数キロキロ南に行けば暖かな黒潮の影響があり水温も上がる筈なのですが、1時間後には下げ始めとなってしまい苦戦の様相です・・・。でもそんな中、小型ながらカワハギが顔を出し、やはり「動かないで食べていただく」釣りが有効なようです。

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 すると、アタリも遠く渋いながら、船中のあちらこちらでカワハギが上がり出します!

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 僕も竿を片手に順番に皆さんの中に割って入らせていただき、ゼロテンションやヒラウチを釣りながら見ていただきました。そしてご質問を受けながら、はたまた釣り談義をしながら、世間話しなどもしながら何度となく船内を回ってみます。すると、アタリが遠いことを嘆くどころか「こんな時にはどのようにしたら?」や、「こんな物を使っているんですよ!」など、皆様の釣りに対する熱意に驚かされる場面がしばしばありました。しかしアタリは遠く、アタリがあってもアワセに持ち込めない様相がほとんどでしたので、それではと、去年9月に作った極小アサリの塩漬けをワイドフック3.5号に小ぢんまりと付け、オモリパタパタの後しば~らくのステイで1匹獲ることができました。

ご参加の皆様の中には和竿にスマックのセットで釣っている方もいらして、「新旧の良いとこ取り」と言ったところでしょうか。

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 苦戦を強いられる日でしたが、女性アングラーもカワハギGETです!

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今回12月に開催予定だったカワハギ教室でしたが、爆弾低気圧直撃によりあえなく延期、1月20日となったのですが、当日の竹岡沖には本船ともう1船しかカワハギ船は見えず、低水温と濁り潮で残念ながら釣果は冴えませんでした。

自然が与えてくれた不利な条件の一日ではありましたが、「仕掛けを入れれば釣れちゃう時は、手返しの練習にはなるかも知れません。でもアタ
の遠い時にこそ『なぜそうなのか?』という、次に繋がることを一つでも多く持って帰っていただく」を思い皆様にお伝えして回りました。

折角乗船料を支払い船上の釣り人となったのですから、日常ではありえない揺れる船の上でしか練習できないことを集中してすることのチャンスでもあり、当日の食いパターンであったゼロテンション、ヒラウチやタタキ下げなど、カワハギ釣りにとっての大切なスキルを練習することで、それが実釣中の集中力を養うことにもなるのです。

「いやいやりょうさん、それは釣れなかった時の言い訳なのでは?」とお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、僕はいつもそう考え釣り進めてきましたし、たとえ条件が悪くても決して諦めず、自分で選んだ釣り座が不利な潮裏になってしまっても、「ではこの釣り座で最高のパフォーマンスをするには?」を常に考えながら自分の釣りを組み立ててきました。以前漠然と釣らないというタイトルで記事を書いたことがありますが、今回はまさに「漠然と釣らないこと」を自然条件に試された日のような釣り教室だったと思います。

 

熱いお話をしながら船内を回っていましたが、気付くと日は東京湾の西に傾いてきていました。定刻になり沖上り、黄昏時を待つ、冬にしては暖かな海を船は航行、多摩川の河口を目指すのでした。

 

帰港後宿でお茶をいただいていると、女将さんより「『これ林さんへ』って常連の方が持ってきたのよ。このあいだ林さん、お子さんといらした時に同船された常連さんなんですよ。だからこの小さなカワハギはお子さん、大きなカワハギは林さんなんですってよ!」とのことでした。

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この心に響くプレゼントに、嬉しさを隠せずに顔はくしゃくしゃでした・・・。

このカワハギの剥製をご自分で作り女将さんに託してくれた方には心当たりがありました。その方はえさ政さんの壁にあるカワハギなどの剥製を作った常連さんの大熊さん。いつも笑顔の大熊さんにはえさ政さんでお会いし、撮った写真をいただいたこともあり、去年はDKOの準決勝で一緒に戦い、開国橋の会場で談笑した思い出が頭をよぎりました。釣りでの宝物がまた一つ増えました。帰宅後に早速、この文章を打っているパソコンの横に飾りました。大熊さん本当にありがとうございました。