アングラー:林 良一


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2015.4.3

型派? 数派? 江戸前マゴチ釣行

「照りゴチ」などど称され、真夏の日差しにジリジリと焼かれながらが風物詩の釣りでもあるマゴチ。しかし昨今は好釣果も手伝ってか、春先からマゴチ乗り合いを出す船宿さんも多く、周年近く看板を掲げる船宿さんもあるほど人気の魚種になっています。
そんなマゴチ、食味も白身で品が良く、氷水でその身を洗って仕上げる「洗い」を筆頭に、から揚げ、煮付けなどでも最高な味わいなのも人気の一つではないでしょうか。
そんなマゴチ釣り、好意にしている浦安は吉久さんの峰岸船長より「マゴチ始まったよ~~!」とのご連絡をいただき、愛竿を持ち船上の人となりました。

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4月2日(木)、ポイントの大貫沖は朝、風が残る予報でしたが、さほど波立たない東より風のこと、左舷舳の釣り座を取ってみました。

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今回のタックルは、リーディング73 MH-200にミリオネア+PE2号と、それより一段柔らかなリーディング73 M-200にスパルタン+12ブレイド0.8号を用意してみました。どちらもティップは柔軟でマゴチのアタリを弾かず、硬い口にシッカリとフッキングさせる粘り強いバットを持っていて、マゴチ釣りにたいへん適しています。

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双方のラインにディープロン船ハリスの5号をリーダーとして1.5m位、結ぶのではなく結節します。

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リーダーの先にはバランスシンカー(三日月オモリ)の20号を付け、ハリスはフロロの4号を1.5m、チモトで編み込んで、首を激しく振るマゴチの引きで擦れて切れるのを防ぎます。

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そうして船上でタックルを用意していると「facebookでお世話になっています!」と、木戸口さんにお声かけいただきました。木戸口さんは先日もマゴチ釣りに行かれたとのことで、「今年はマゴチ釣りにハマりました~」とのことでした。

 

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すると、吉久さん常連で名手の山本さんも登場! 去年、まだ温かい頃のマダコ釣り以来でしょうか、楽しくなりそうです。

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当日は下げ潮の後11時頃より上げ潮で、江戸川に上流向きに係留されている僚船に川面が割られています。

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さて、定刻7時に舫いを解かれた船は川を下り、富津岬の向こう側、大貫沖のポイントを目指します!

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ポイントに到着すると峰岸船長は「サイマキ(小型のクルマエビ)の付け方(装餌)が分からない方は集まって下さい」と、釣り開始の前に丁寧なエサ付けのレクチャーをしてくれます。

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レクチャーが終わると船長は船を風に立ててスローダウン。第一海堡を北に見やる、水深12m前後からスタートします。
東風が10m弱、風波はそう立っていないものの、下げ潮と風向きがヘンにぶつかる時があり、舳先の釣り座では不規則なピッチング、ローリングを繰り返します。
そこで、その揺れを吸収し、中オモリの不意の揺れでタナボケを防ぐよう、柔らかなリーディング73 M-200を先発とし、ラインが細い分オモリは15号で同調させてみました。

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しばらく底立ちを繰り返しているとコツコツと、マゴチがエサを咥えた挙動が目感度にハッキリ見て取れ、手感度にも「ゴツゴツ」と、そのヤスリのような歯でサイマキを咥え直す感触が伝わってきます。
その後「10引かれたら5戻すように」とは、マゴチ釣りで峰岸船長に教えていただいたフッキングに至るまでのヤリトリなのですが、最初のアタリはマゴチがたいへん小型だったようで、10引かれた感触が軽く、その後10以上戻ってしまい、違和感を感じたマゴチがエサを離し、サイマキには2~3ヶ所、マゴチが咥え直した後が残っているだけなのでした・・・

その後程なく小型ながら本命をキャッチし一安心! 当日は名手の方が乗り合わせていましたので、お話しをお聞きすることにいたしました。

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お1人は当日、64cmに加え58cmと、船中1人断トツで大型2本釣り上げた先程登場いただいた山本さんです。
山本さんに大型を釣る秘訣をお聞きすると、そのダンディーな面持ちに時折笑顔を交えながら、マゴチ釣りで培った独自のノウハウを教えていただきました。
それは・・・
「僕は船長の指示ダナよりも若干低くタナ取りするんですよ。そして、エサとしては小さ目のサイマキなのですが、ハリのチモトにヒューズを巻き重さを出し、リードで引かれている犬のようにエサが海底を移動、地底に張り付いているマゴチのすぐ横にエサを通すイメージ」ということでした。
また、置き竿で狙う山本さん「アタリがあったら竿を持ち食いを促しアタリに備えるわけですが、突然のアタリでも竿を手にしたその時は、『トップガイドは定点に置いたまま竿をロッドキーパーから外し握ること』が、エサを食い始めたマゴチに違和感を与えない大切なことです」ともおっしゃっられていました。

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もう一人の名手は阿部さん。
当日は14本のマゴチえお釣り上げ、本数では次頭を引き離し、これも断トツの釣果でした。
特筆すべきは、阿部さんの釣り座が不利な潮裏であってもコンスタンとにマゴチを上げていたことで、お話しを伺うと「僕は船長の指示ダナよりも低くしているんですよ」と、ここでも「低いタナ」がクローズアップされてきました。でも、峰岸船長の名誉の為に書かせていただきますが、船長の指示するタナは、そのときの潮の流れを鑑み適正に指示され、指示ダナを保っていればエサのサイマキは、海底に着くか着かないかといった状態で船の動きに合わせ「ハリスが張った状態」で移動を保ち、ハリスが張っているのでアタリの初動から見逃すことなく釣り師は察知できるのです。
さて、では阿部さんは、どのような意図で低いタナで釣っていたのでしょうか?  具体的にはそれは「指示ダナの8割位のタナ」だそうで、先の山本さんとソックリではないにしろ被る部分でもあるのです・・・
阿部さんの釣り方の核心は「フォール姿勢のエサをマゴチに下から認識させること」だそうです。
海底付近でユックリ底に降りて行くサイマキ、それを上に付いた小さな目で追うマゴチ。海底付近を動くエサより、海中から舞い降りるエサの方が多くのマゴチの視野に入ることと、動くモノに興味を示すマゴチの習性を利用した誘いで、サイマキを認識してマゴチは、着底する付近に間合いを詰めより捕食するのではと阿部さんは考えているようです。
また、タナを低く取る分タナ取り直後のアタリはハリスが弛んでいる分出難く、次のフォールの為に竿を上げる時は「マゴチが食っているかも知れない」と、初動は細心の聞き上げをするそうです。

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「昨日は釣れたんだよね~」、「明日はいいんじゃないかな」などを揶揄し、「釣り師の時勢に今はない」という言葉がありますが、釣行当日の条件では、大型と数とが、その釣り方により顕著に分かれていました。
同じことをしてもそのように行かないのが釣りの面白さですが、帰港中の操舵室で船長に伺った話では「阿部さんはホント、マゴチ釣りが上手いんだよね~。それももう、俺の想像の領域を超えているんだよ(苦笑)」の後に「でもね阿部さん、もう何百本のマゴチを釣ったか分からないけど、60アップのマゴチはまだなんだよね・・・」と、「数」にこだわるメソッドの裏打ちような話しも教えてくれました(阿部さんスイマセン)。

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カワハギでは「小型は早いエサの動きにで、大型はエサを止めている時間を長く」という一つのセオリーがありますすが、それに通ずるような今回のマゴチ釣りでした。

 

「んっ? そんで・・・、りょうさんの釣果は??」 それは・・・、峰岸船長の顔が物語っております・・・・(苦笑)

 

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