アングラー:林 良一


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2014.2.8

〈林〉地上と海底

2月8日(土)、18時、関東地方では沿岸部を中心に、記録的な雪が降っています。雪は地上で降り、海面では溶けてしまいます。海中でも、雪のように視界の悪い時、または曇りのような時があるのではないでしょうか? そんな大雪の今日、以前から書き溜めていた記事をリリースしようと思いました。

 

陸から海に向かうと、地上が砂浜になり、やがて砂浜がそのまま海に入り込んでいく場所があります。海に入り込んだ砂浜は、かなり浅いながら海底となるようです。大きな違いは、すぐ上が大気であるのか海水であるのかようで、地面のすぐ直上の環境が著しく違なるわけです。

ただ、考えてみると、地上でも霧であるとか、雪であるとか、大気にも、水中での濁りのような状況がある場合があります。また海底でも、比重の軽い、河川などからの淡水の流れ込みが多くあると、その雨などで濁った淡水が表層に漂うことになり、透明度が高い海水であったとしても、きっと海中の光量は少なく、あたかも陸上での曇り空のような様相になるのではないでしょうか。

マルイカ釣りなどは、そんな海中の光量の違いでスッテのタイプをチョイスすることもあり、朝一番の、斜めに差し込む赤や黄色味がかった太陽光と、ほぼ真上からの、白色に近い太陽光では、水色がクリアなほど、水深が浅いほど影響を受けると考えられます。

マルイカ釣り教室での出船前のレクチャーの時、そんな水中の、マルイカが生息している海底付近の光量の違いを、「地上ではこのように考えると・・・」と模してお話しすることがあります。例えば・・・、「あなたは今車の中、路肩で停車中です。50m先には信号があり、歩行者がぞろぞろと横断歩道を渡っています。晴天であれば、その歩行者の服の色はハッキリと見えると思いますが、霧がかかっていたらどうでしょう? 黒や真っ赤など、比較的濃い色の服の場合は、霧越しでもコントラストがあり見やすいかも知れませんが、白や薄いピンクなど、霧に溶け込むような色の場合、もうちょっと近づかないと見にくいかも知れません。 海中にあるスッテのタイプや色にもそう言った考え方を当て嵌めて・・・」などをご説明することもあります。

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そして、前記のように、クリアな潮色で晴天の昼間であったとしても、濁った淡水が海水の表層を覆っているとすれば、当然海中の光量は極端にに減り、カワハギ釣りの場合など、そんな場所で光を発する夜光のオモリが有効かも知れないなどと推測したりするわけです。 

カワハギもマルイカも、主に視覚でエサを、スッテを発見すると考えるとすれば、当然視界が良い方=クリアで光量が豊富 がベストなわけなのですが、そこは自然の海でのこと、実際の釣りでは、想定外の様々な条件が重なることもあり、「今このときはどのような条件か?」に常に注意を払い、柔軟な考え方が必要な場合もあるようです。