アングラー:林 良一


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林 良一さんの記事
2013.1.19

〈林〉塩噛みと錆び

海水の中に含まれている「塩」。それがある意味機械であるリールや竿などの金属部分に悪い影響を及ぼします。

「塩噛み」とは、海水がリールの内部などに入り、そのまま水分だけが乾燥してしまった後、そこには塩の結晶と海水に含まれている塩以外の若干の不純物が残るわけです。それが回転する軸と軸受の間、隙間、ベアリングの中などで発生すると、あたかも砂粒のような塩の結晶のこと、リールのハンドルを回すと「ゴロゴロ感」があったり「シャカシャカ」音がしたり、ひどい時にはクラッチを切ることもできない、切ったクラッチが戻らないなどの症状が実釣中にも起こったりします。

それは新品のリールをおろした時にはほぼ無いことなのですが、実釣で使った後家に持ち帰り、前田さんの記事のような手入れをしてあげないと起きてくることがあります。もっとも連日の釣行の時など、竿にリールを取り付けたまま真水で洗わずに、車中に立て掛けるように翌日まで放置してしまうなどの悪条件が重なると、特にベイトリールの場合は、リール本体下部にある水抜き穴が上を向いまま水分だけ乾燥してしまう可能性が高まり、高確率で塩噛みしてしまうかも知れません。

 

塩水にはもう一つ「錆び」という厄介物を引き起こす要因があります。思い起すと理科では「錆びは金属が塩水中のイオン何とかで・・・」と教わったような記憶があります(汗)。潮干狩りに使った鉄製の熊手が気付くと真っ赤に錆びていたり、釣り船の金具部分に多用されているステンレス(錆びないという意味)ですが、それさえも度重なる海水を被り、薄らと赤く錆びている箇所があったりするものです。

「でも、海水対応のリールだから錆びないんじゃないの?」とお思いの方もいらっしゃることと思います。確かに淡水用に比べて錆びにくい部品が使われ海水対応と銘打たれていることも確かだと思うのですが、それは「錆びない」ではなく「錆びにくい」と解した方が賢明のようで、それは前記した船の金具と結びつくところがあります。

 

海釣りをするのに海水は絶対避けては通れないことは記すまでもありませんが、荒天で大揺れの船縁に差した竿、そしてリールに飛沫がいくらかかろうとも、「家に帰ったら次回の為に念入りにメンテナンスしてあげよう」と思うほど道具を愛おしい思うのも悪いものではありません。

 

夜な夜なグラスを傾けながら、いつも一緒に頑張ってくれる相棒を手に取り目を細めてしまうのも、僕の中では大好きな釣りの一部なのです。

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