アングラー:林 良一


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林 良一さんの記事
2011.5.25

〈林〉比較対象

コイ釣りに傾注していた中学生の頃、早朝友達と自転車に釣り道具を乗せ、一時間以上もかかる釣り場に通ったものでした。

市販の吸い込み仕掛けではあき足らず、皆仕掛けを自作するようになっていき、その仕掛けの出来、不出来を友達同士で競ったものでした。

そのうち お年玉をはたき道具も新しくなっていき、段々と釣果に、大きなコイへと近付いて行くのですが、釣れる友達は平均して釣れ、あまり釣れない友達はいつも貧果なのです・・・。

そして、「あの毎週来ているおじさんはこんな仕掛け」、「聞いてきたら、エサに黒砂糖を混ぜてるんだって!」など、より釣れている大人の釣り師との自分との比較対象を自然としていて、その背伸びが楽しくもあり、金額的に奥歯を噛み締めることもあったのでした。

ビンドウという、いわゆる小魚のウケにも比較対象があって、大人はエサに鮭の切り身などを使い、そうするとテナガエビが入り、ウケの中のテナガエビと鮭の切り身とを垂涎の眼差しで見ていたものでした。

 

船釣りでの比較対象を考えてみると、マルイカではスッテの色、形、タイプなどを、水深、潮色、活性などで使い分けますが、船中誰もアタリがないときなど、見渡すことのできる釣り人の使っていない、セオリーを無視したスッテを比較対象で使ってみるとか、メタルのスッテを仕掛け上部に配し、仕掛けを海中で弛ませてみたりなど、他の釣り人とは変わった何かが功を奏すこともあります。

細かに考えてみると、PEラインや仕掛けのイトの太さであるとか、エダスの長さなんかにも気を配ると良いかもしれません。

もっとも仕掛けの細部の寸法などは、ことカワハギ釣りではかなり重要な要素となっています。

また、皆さんが激しくタタキ、船中ポツポツとアタっているとき、そんなときはイカの食欲がなく、激しく動くスッテに反射して、いわゆるリアクションバイトでポツポツと上がっているかも知れず、そんな時、タタキの動きとは反対に、ゼロテンションでスッテをピタッと止めてしまい、じっくりとスッテを見せてやって、イカに完全に認識させてみることを試みたり・・・。

ジギングでは、PEラインが作り出す影が魚へのプレッシャーになることがあり、透明なナイロンラインを使うことで比較対象を作りヒットに導くテクニックもあるとのことで、PEラインと比べ伸びがあり、ジグにメリハリのある動きを与えにくいデメリットよりも、ラインの透明度の比較対象の方に軍配が上がるという、経験からくる状況判断が釣果に結びつくこともあるようです。

 

「あ~釣れないなぁ~、この状況下セオリーではこうなんだけど、何でだろう?」

そういうときに比較対象を考え、好敵手の心情を読みつつ、隣の釣り人と、船中の方々と何か違ったことをしてみる思考、行動が功を奏すことがあるかも知れません。