〈林〉スイッチのON、OFF
期待を込めての黎明の出港、今日出会えるであろう獲物に思いを馳せながら、「ロッドの配置はこれでよし、今日は潮が少し濁っているようだ、そしたらスッテの配列を・・・」などと、再度身の回りを確認しながらのポイントまでの航行は、釣りの幕開けまでの楽しい序章なのではないでしょうか。
船はスローダウン、魚探に好反応!待ちに待った船長からの投入合図!!
一投目からの着乗り、しかも・・・、「このリールのハンドルの重さ、竿の曲がりからすると、2点、いや3点掛けか!?」と想像するのが早いか、心拍数が上がり、笑顔をかみ殺しながら、「バレルなよ!」と、細心の注意を払いながら巻くリール、そして、イカが姿を現す取り込みのとき・・・。
釣り人のスイッチはONの状態。
前日、今日の状況を予想し、エリアを、そして船宿を選択して、朝一からの好条件、この上ない第一章ではないでしょうか。
しかし、このような状態は大抵長く続かず、しばらくすると、反応があるのに食ってこなかったり、反応が消滅してしまったりすることも多いものです。
船長は仕掛けを上げさせ、他の群れを探す為に魚探をかけながらスローで船を航行、しばらく捜索しても、その付近によい反応がない時は大移動するときもありで・・・
毎日そのエリアに船を出していて、海底の地形、水温や濁りの変遷も目の当たりにしているプロの船長、その船長を持ってさえも反応を探しきれない時もあり、そんなとき、「釣り客に釣らせてあげたい」と、わが身にプレッシャーをかけながら、必死に魚探をにらむ船長とは裏腹に、集中力が途切れ、朝一の喜びはどこへやら・・・、しばらく振りの折角の投入合図があっても、釣り座に横になってしまったままで・・・・、第二章「休息」。
釣り人のスイッチはOFFの状態。
それはいけないということではなく、仕事で疲れていたり、寝不足であったり、それでも車を運転して船に乗りに来て、皆さん各々の状態でその釣り座にいるのですから、その辺は自由だと思うのです。
ある釣りの先人の方で、大物釣り師の方なのですが・・・
「釣れずに沈黙している時間がある、でもそこがチャンスかもしれない、その意味分かるかな?」
という、問いかけとも、謎かけともとれる、その方の一文を読んだことがあります。
アタリを出して掛ける釣りの場合はどうでしょう。
「釣れずに沈黙している時間がある、そのときは考えるチャンスであり、沈黙を破るヒントが隠されている」
とも考えられるのではないでしょうか。
こう偉そうにブログを書かせていただいている僕も、船上で横になってしまうこともありますし、沈黙していて煮詰まっちゃうことも往々としてあります。
ただ、スイッチを完全にOFFにはせず、思考を働かせていることにより、ふとしたヒラメキがあったり、たとえその日が貧果だったとしても、下船後の釣友との語らいの時、沢山釣った方の意見を素直に聞け、次に繋げ生かせるよう心掛けています。
釣れず、反応を探し回っている時、凪の日並で心地よく・・・、やはり釣り座に横になってしまうことありますよねぇ・・・。
でもそんなときでもトップガンは手中に、船の挙動を気にしながら、船長の合図を待ちながら、思考を凝らしていたりするものです。