アングラー:林 良一


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林 良一さんの記事
2010.6.23

〈林〉スイッチのON、OFF

期待を込めての黎明の出港、今日出会えるであろう獲物に思いを馳せながら、「ロッドの配置はこれでよし、今日は潮が少し濁っているようだ、そしたらスッテの配列を・・・」などと、再度身の回りを確認しながらのポイントまでの航行は、釣りの幕開けまでの楽しい序章なのではないでしょうか。

船はスローダウン、魚探に好反応!待ちに待った船長からの投入合図!!

一投目からの着乗り、しかも・・・、「このリールのハンドルの重さ、竿の曲がりからすると、2点、いや3点掛けか!?」と想像するのが早いか、心拍数が上がり、笑顔をかみ殺しながら、「バレルなよ!」と、細心の注意を払いながら巻くリール、そして、イカが姿を現す取り込みのとき・・・。

釣り人のスイッチはONの状態。

前日、今日の状況を予想し、エリアを、そして船宿を選択して、朝一からの好条件、この上ない第一章ではないでしょうか。

 

しかし、このような状態は大抵長く続かず、しばらくすると、反応があるのに食ってこなかったり、反応が消滅してしまったりすることも多いものです。

船長は仕掛けを上げさせ、他の群れを探す為に魚探をかけながらスローで船を航行、しばらく捜索しても、その付近によい反応がない時は大移動するときもありで・・・

毎日そのエリアに船を出していて、海底の地形、水温や濁りの変遷も目の当たりにしているプロの船長、その船長を持ってさえも反応を探しきれない時もあり、そんなとき、「釣り客に釣らせてあげたい」と、わが身にプレッシャーをかけながら、必死に魚探をにらむ船長とは裏腹に、集中力が途切れ、朝一の喜びはどこへやら・・・、しばらく振りの折角の投入合図があっても、釣り座に横になってしまったままで・・・・、第二章「休息」。

釣り人のスイッチはOFFの状態。

それはいけないということではなく、仕事で疲れていたり、寝不足であったり、それでも車を運転して船に乗りに来て、皆さん各々の状態でその釣り座にいるのですから、その辺は自由だと思うのです。

 

ある釣りの先人の方で、大物釣り師の方なのですが・・・

「釣れずに沈黙している時間がある、でもそこがチャンスかもしれない、その意味分かるかな?」

という、問いかけとも、謎かけともとれる、その方の一文を読んだことがあります。

 

アタリを出して掛ける釣りの場合はどうでしょう。

「釣れずに沈黙している時間がある、そのときは考えるチャンスであり、沈黙を破るヒントが隠されている」

とも考えられるのではないでしょうか。

 

こう偉そうにブログを書かせていただいている僕も、船上で横になってしまうこともありますし、沈黙していて煮詰まっちゃうことも往々としてあります。

ただ、スイッチを完全にOFFにはせず、思考を働かせていることにより、ふとしたヒラメキがあったり、たとえその日が貧果だったとしても、下船後の釣友との語らいの時、沢山釣った方の意見を素直に聞け、次に繋げ生かせるよう心掛けています。

 

釣れず、反応を探し回っている時、凪の日並で心地よく・・・、やはり釣り座に横になってしまうことありますよねぇ・・・。

でもそんなときでもトップガンは手中に、船の挙動を気にしながら、船長の合図を待ちながら、思考を凝らしていたりするものです。