アングラー:林 良一


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林 良一さんの記事
2013.8.17

〈林〉TKB覇者、カワハギ釣りの裏砥に挑戦!

テクニカルな釣りの代表とも言えるカワハギ釣りですが、僕はカワハギ釣りをしてきた経緯の中で、他の釣りの恩恵を感じることが度々あり、それは、両手でゼロテンション⇔聞くを繰り返すアナゴ釣り、イイダコ釣りであったり、自ら極細に削ったグラスソリッドの、トップガイドのリングの幅ほどの振れ=アタリを取る湾フグ釣りなどがその最たるものなのです。

こと湾フグ釣りでは、その非常に振れやすいトップを風があり揺れる船上で、ゼロテンションをキープしながらアタリを待つのですが、お読みになってご理解はしていただけると思うのですが、船上では意に反して、中々すぐにできるものではありません。

話しは変わって、去年のTKB(東京湾カワハギバトル)の優勝者の林くんと今年、釣り教室を通してお知り合いになり、彼を含む仲間でマルイカやカワハギなどの釣行を数回重ねました。そのときのゼロテンションが功を奏した模様は、好調な小湊へ行ってきました!で以前書きましたが、終盤、風が上り船が揺れ出すと、同行の仲間には途端にマルイカからのアタリが遠のいてしまったのに対して、揺れる中僕は、最後の1時間で30杯超えの釣果を出しました。考えられることは、オモリを切って定点に止めることが難しい船の揺れの中で、オモリを着けたままゼロテンションと穂先の曲りを一定にキープ、揺れる仲間のスッテに抱き付けないマルイカが、止っているスッテを抱いてきたと考えることができます。

揺れる船上で、あたかも堤防で釣りをしている仕掛け操作ができたなら、それは多くの場面でアドバンテージがあるわけで、そこのところを林くんは気付き、「機会があれが是非湾フグに!」と、常々彼から言われていたのでした。ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、そんな経緯から8月16日(金)、羽田のえさ政釣船店さんに彼と湾フグ釣りに行ってきました。

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当日ポイントの大貫沖では、本命からのアタリは乏しいのに反して、外道のクサフグは好調にアタリを出し、開始小1時間で10本のアカエビを使ってしまいます(苦笑)

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 ただ、林くんにとって今日はゼロテンションの練習、朝からそよそよ吹いていた南西風が段々と風力を増し、体感で7~8m吹いてきた頃、アンカリングしている船も心地良く揺れていて、終盤ゼロテンションの特別講座開催です(笑)

彼は市販の湾フグ竿を使い、ほぼ彼の中ではゼロテンションが決まり、自分で合格点を出していたようですが、トップを極細に削った僕の竿に持ち替えた途端、その顔から笑みが消え、焦りと、懸命に動きを殺しているはずなのに揺れてしまう穂先から、今度は苦笑いがこぼれていきます。

「ゼロテンションはコツだよ。腕や手首の力を抜いて、波で揺れる船のリズムを感じて、一定リズム以外の不用意な揺れにはこう対処して・・・」と、マンツーマンで1時間位でしょうか、合格点ではありませんが、段々と穂先が決まってきます。

「僕はりょうさんより手が小さいから、同じようにパーミングしてもても・・・」と林くん。これが最大のヒントで、誰一人同じ人間はいないわけで、「ではそこをどうするのか?」を克服するかどうかが、制度の高いゼロテンションを持続させられる鍵なのです!

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僕の中では、カワハギ釣りの裏砥的な要素を湾フグ釣りに感じていて、湾フグ釣りの中からカワハギ釣りに生かしているエッセンスは多く、過去の自分の体験を大切に、いつでもその引き出しを開けれれるよう釣りと向き合っています。

根気よく、沖上りまで練習を続ける林くん。何か、今後一つでも彼の釣りに役立つことがあれば、今回の釣行の意味、僕の任務は完了です(笑)

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 【裏砥】

包丁、それも片刃の出刃包丁などは、背の厚みが刃先手前で片側だけ斜めに傾斜して刃先になっていて、その裏面は平になっています。砥石を使って片刃の包丁を研ぐとき、その斜めになっている面を砥石に当て、水を付けながら静かに包丁を前後に動かし砥ぐわけですが、しばらく砥進めある程度刃先が鋭くなると、最後に「裏砥」といって、裏の平な面を砥石にピタリと押し付け数回砥ぎ、表砥ぎのときのバリやカエリを取ることにより、その切れ味が更に増します。要するに、表砥ぎを終った段階で100点とするならば、裏砥をすることにより、それが120点にも、もっと上の切れ味になるということです。