アングラー:林 良一


BLOG TOP 林 良一の記事一覧
林 良一さんの記事
2013.5.17

〈林〉凝縮する

釣りが大好きでお酒にも目がない僕ですが(何の話し?)、船釣りをするなら船宿、お酒を呑むなら居酒屋ということになるのですが、そんな日本中の居酒屋を、その土地土地の風土と共に紹介しているテレビ番組を観ることが好きなのです。週一回放映のその番組を数ヶ月観ていますが、地元の肴で杯を傾け、時として大分呑んでしまう番組の主人公が居酒屋を後にするとき、店から外へ暖簾をくぐり、酔った口調で「ここ、○○(土地の名前)のパワーが凝縮されていましたね~」と高確率で発します。「凝縮」とは固まっているということで、「その土地の活気がここに集まっている」という意味だと受け取れます。

釣りをしている中でも、状況はどうあれ自分を凝縮させる時間があるものです。それは、潮がわりなど何かのきっかけで、それまで食い渋っていた魚が急に口を使うようになり、今まさに今日一番の時合だという時、集中して、さらには自分を凝縮させ、「今この時を逃すものか」と奮闘することと思います。

釣りの準備段階でも、向かうエリアの時期に合わせタックルをチョイスし、エサやスッテ、ルアーなどを絞り込んでいく、まさに凝縮したタックルで臨むことを想定しての組み立てがあるかと思います。ベテラン釣り師ほど、特に遠征釣りの時ほどタックルを絞り込み、「えっ? これだけなのですか??」という位全ての荷物が少ないものなのだそうです。

それは日常の生活であり仕事など、大切な場面場面で無意識のうちに行っていることかも知れません。

凝縮する時、キラリと光る瞬間を放ちながら釣り進める釣り師に目を奪われるように、それを見る側にも、「まさに今なのか!」と、凝縮している時を共感できる感受性を持ち合わすことも大切かも知れません。

 

全国を行脚している主人公が訪れる居酒屋の盛り上がりように、釣りではここぞという時は、己のその盛り上がる気持ちを胸中で凝縮して、小さな事も見逃すまいという最新の注意も払いながら最高のパホーマンスを心掛けていたいものです。