〈林〉驚愕の目感度! アナリスター・エギスミイカ インプレ釣行
予てから浦安の船宿吉久さん、スミイカ船も担当している峰岸船長と、エギ(餌木)スミイカ釣りに最適な竿について話をしていました。それというのも、個人的にはバスロッドを始め、マルイカ竿、キス竿など様々な竿をエギスミイカ釣りに使っていたのですが、どれも帯に短し襷に長しで、特にスミイカのアタリを出すという点では及第点であはあるのですが、これといった竿には出会っていませんでした。
そんな中、A-トリガーライトフグがスミイカのアタリを出すのに最適という話しを峰岸船長からいただいていましたが、僕は実釣で使ったことがないことと、もう手に入らないこともあり、地団駄を踏んでいたものでした。
その、湾奥で人気のエギスミイカ船の船長一押しの、伝説の調子が再現、今年発売されたアナリスター・エギスミイカ に継承されたのです! そのアナリスター・エギスミイカを携え11月12日(水)、峰岸船長が舵を取る吉久さんの船上の人となってきました。
出船前にはスミイカをエギで釣る為の要点をレクチャーしてくれる峰岸船長。スミイカの習性を鑑みながら、実に理に適った釣法を説明してくれます。
ここは、シンプルゆえに奥が深く、特にハリスの長さを一定しての正確なタナ取りが最大のキモとなります。
またスミイカは、本来カルシウムの甲羅を持った甲イカなのですが、吐く墨の量(と濃度も)が尋常ではなく、それゆえ通称スミイカと呼ばれるようで、釣り上げてからの取り込みにも、自他共に墨を吐かれないようにな取り込み方も教えていただけます。
僕は今回、もちろん竿はアナリスター・エギスミイカ 、リールは終始手持ちのエギスミイカ釣りのこと、小型軽量なエアドを合わせました。ラインはハイパーメガセンサーで、潮の無い時船をずらしながら、新たなポイントに入りながら釣る時、ラインが斜めになる=タナがボケる 為、どうしてもタナ取りが煩瑣になってしまいますので、なるべく水切れの良い0.8号を使いました。
仕掛けは10~12号位のアオリイカ釣り用の中オモリに、ハリスはフロロカーボンの3号、又はナイロン4号を(ここが大切)キッチリ1.5m取り、エギにはループノットで結び自由度を与え、小型スナップなどの接続金具はエギの水中姿勢を損なう為に絶対に付けません。実釣中、船長から潮の流れにより「底から中オモリを1.2m切って」などのアナウンスがありますが、これはハリスが1.5m前提での話しで、ハリスの長さが違っていては、底スレスレにエギを泳がすエギスミイカ釣りのことタナが違ってきてしまい、おのずとアタリは遠のいてしまいます・・・。
エギのサイズは2.5号かそれより小さなものを、エメラルダス ヌードを中心に、ローテーションしながら使ってみることにしました。
凪の海を航行すること1時間余り、船長は木更津沖、中ノ瀬航路に落ち込むヘリ伝いに船を流します。
アナリスター・エギスミイカ、10号オモリ+エギ+ラインの抵抗での曲りはこんな感じです。
スミイカがエギに抱き付くアタリがあると、まだ曲り代に余裕のある穂持ちが、早さのあるモタレのように大きくアタリを出しました。
朝一は潮止まりながら、船長はピンポイントを丁寧に流し替え、今時期としては大型のスミイカを数杯獲りました。エメラルダス、特にこの子が頑張りましたよ~!
途中タックル、仕掛けを全く替え、20号の下オモリから70cmの所に40cmのエダスを出しエギを結び、リーディング 82MH-190MTにスパルタンの出で立ちで、船から遠投、ステイを混ぜたボトムバンピング、ズル引きなどを試してみましたが、こちらは不発でした・・・(残念)
東京湾ならではの風景、本線航路周辺には巨大タンカーが往来しています。
中盤は潮も効き出し、船も良い感じで流れ、船中万遍なくスミイカが釣れている様子です。
終盤は潮の流れも無くなり、船長は大移動してラストチャンスに賭けます。ここではやはり、潮も風も無い分操船で船を流して行き、
連荘などもあり、終わってみれば11杯のスミイカを釣ることができました。
ラストの30分は、船の水を出しっ放しにしてくれ、大量の墨を吐いたイカをキレイに洗い流せます。
今回1年振り、今季初スミイカ釣りでした。今年の傾向としては、時期としては型が大きく(例年開始時は小型で、水温の低下と共に大きくなり、徐々に深場に落ちていく)、例年より個体数は少ない感じでした。
さて、最後にアナリスター・エギスミイカのインプレッションですが、以前使っていた数々の竿との比較では、「こんなに目感度で大きくアタリが出るのか!」という、ビックリするほどの目感度でした。
実は最初の2時間は、色々と新たな発見、試行錯誤などを繰り返しながらタナ取りをしていました。まず、タナが低すぎ、エギのカンナが海底の何かに引っ掛かってしまった挙動が、以前使っていた竿での、イカがエギを放して逃げる逃げアタリにソックリだったことに戸惑い「どうして本アタリが分からないのだろう・・・? この穂持ちなら、エギを触腕で掴み、コンマ何秒かで残り8本の腕でエギを掴む挙動=アタリ が分からない筈はないんだけどな~~」と、エアドのハンドルを1/4回転し、約15cm位タナを上げ、エギが底に擦らないようにタナ調整しました。
すると今度は、竿先にモタレ、直後にエギが底に引っ掛かってしまったと判断、完全に手感度でもジワ~ッと重くなったのです。「タナ切ったのに、また根掛りかぁ?」と思いながら、竿を立てると「ズシッ!」とイカの重みが伝わり、「今のがアタリ?なのか?? こんなに大きくアタリを出す竿なのか、アナリスターは!?」と、その驚愕アタリの大きさに、「今までの竿では、大きなアタリでも、トップガイド1個分位だったのに、今は2cm以上、3cm位穂先が入ったんじゃないか!?」と、イカを釣った本人がビックリするほどの目感度でした。
これは、10~12号の中オモリ+エギ+ラインの抵抗を全て足した重さを穂持ちが背負い、その状態でまだたおやかに入り込む=アタリを大きく出す 穂持ちの柔らかさ、竿の調子の賜物であると考えられます。
まさに「伝説の調子」を体感、予想以上のアタリの出方に驚きながら、竿に慣れた後半は一気に釣果を伸ばすことができました。
エギスミイカ釣り醍醐味は、一見地味に見えるタナ取りを繰り返し、エギを海底スレスレをトレースするように泳がせる為、宙でのゼロテンションの精度を上げ「いつスミイカがエギに襲い掛かかって来るかも知れない」という、いわば「永遠の中の一瞬を捉える」のが魅力の一つで、アナリスターにひときは大きく出たアタリにアワセを入れた直後、「ズシン」とイカの重みが伝わり、頭上に掲げた竿をその位置から、重みを楽しみながら「これはまあまあの型だぞ」と、内心ほくそ笑みながらリーリングし、徐々に竿を下げて行き、水面近くなると時折ジェット噴射での引きを、アナリスターの胴中のしなやかさに助けられ、海面から出てきた中オモリを掴み手繰り、ハリス伝いにエギを掴み、エギをくるっと回してスミイカの茶色の背をこちらに向け、首根っこを掴み墨を吐かれないようにカンナを外し、そのまま頭のトゲもキッチンバサミに切ってしまってから、スカリ(網袋)を入れたタルに静かにイカを置き、置いたイカを見やってニヤリ(笑) バケツの底で時折「シュ~、シュ~」と、海水ではなく空気を吐き出すイカの音に耳を傾けながらタナ取りを繰り返すのです。
高級食材スミイカ。刺身、天ぷら、バター焼きなどで美味しく召し上がれますし、個人的には下足をボイルして山葵醤油で、カワハギの骨酒でなんてたまりません(笑)
アナリスター・エギスミイカの登場で、増々身近になった江戸前高級食材でもあるスミイカ、掛ける妙味を楽しみながら、その日の夕餉に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。