〈林〉仕掛け作り教室→アカメフグ釣り教室〔後編〕
前編より続く・・・
時間と共に段々と風は収まってきますが、フグからのアタリはまばらで、ポイント移動をする度に船中顔を出すものの、しばらく沈黙が続く場面もありました。そんな中、今回のアカメフグは大型が多く、船中一番の大型、40cmジャストをGETしたのは極鋭MCゲームで臨んでいた井上さんでした! 井上さんは何とこの後トラフグもGET!! 初回の仕掛け教室にもご参加いただいて、我がことのように嬉しいひと時でした。
そして中盤やや深場のポイントに移動し、船中続々とアカメフグが上がり出します!
そして今回 もっとも印象に残る場面がありました。それは、ほぼ同時期、一昨年の釣り教室開始当初からご参加いただいている武田さんと三浦さんのことです。彼らの釣りに対する情熱はもちろんのこと、去年メキメキ湾フグの腕を上げ、並み居る常連さんを押しのけ竿頭になること複数回、その上達振りには目を見張るお2人のことなのです。
左舷のミヨシ2番に三浦さん、3番に武田さんという釣り座でしたが、左舷ミヨシの湾フグ初体験の幾多さんに最初の1匹を釣られてしまい、序盤は幾多さんが2匹、3匹と釣果を重ねて行く展開となりました。そしてしばらくすると武田さんがアカメを釣り上げるのですが、その後三浦さんに来たのはイシガレイ・・・。ある意味カワハギよりもメンタルが大切な湾フグ釣りのこと、この状態でのお2人の心中は、「重ねてきた湾フグ釣りの自信がグラつく状態」ではなかったのではないでしょうか?
時間が経つにつれ、武田さんは1匹獲っているものの、相変わらず三浦さんはフグの顔が見れずの状態で終盤に突入します。でも一つ、この頃(13時頃・沖上り14時半)船長から1つのヒントがあり、「15時過ぎに下げ止まる筈の潮がもう動かない(止まった)」との一言。黒潮が差してきているここ数日、東京湾内では「潮見表の時間で下げきらないうちに潮止まりということは、上げ潮の上げ始めが早い筈」と、このご両人にはもちろん、船中の皆さんに、「沖上りの合図があるまで決して諦めないよう、最後の最後に潮かわりになりチャンスがある筈」とお伝えして回りました。
すると予想は的中し、終了10数分前よりアタリが出始め、なんと三浦さんが連荘で2匹のアカメフグを釣り上げたのでした。
端的な結果、単純な釣果だけ記せば、「湾フグ初めての方に彼ら2人は敵うことはなく、武田さんは序盤に1匹釣り上げるも最後までそのまま、三浦さんは奮闘するも中々アタリを出せずにいたが、最後に2匹を上げ引っくり返した」となります。
でも、僕はその結果の数字だけではないことが、釣りを続けて行くには大切なときが常々あると思っていて、釣り進め、時間が経るに従い彼らの内面では、心の動き、悪く言えば動揺、心が折れそうになった瞬間もあった筈で、それはあたかも釣り大会、競技に参加しているかの如くの心の揺らめきであったと察せます。
三浦さん、その長い長い中盤の後ろ姿。隣の武田さんも「もう1匹」と集中を切らすことなく最後の最後まで諦めない姿勢 が、釣り教室を通してお知り合いになったことも重なり、もちろん競い合いではないのですが、どこか意地らしく、そして誇らしく、僕には嬉しく映ったのでした。
程なくして船長より沖上りの合図。 すっかり凪いでいる海、船は帰港の途につきます。
艫ではまた、ひときは大きな声も上がり「今日はさ~」など、同じ笑顔の釣り談義なのでした・・