アングラー:林 良一


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林 良一さんの記事
2012.6.1

〈林〉感覚を伝える

「釣りの名手の○○さんはこんな釣り方をしているから、俺も真似して同じ動きを意識してやってるんですよ!」と、言わずと知れたその名手の仕種を真似て釣っている方と隣合ったことがあります。

カワハギ釣りでのことだったのですが、ややオーバーアクション気味のその方、なるほど特徴を捉えており、かなりの影武者振りのパホーマンスだったと記憶しております。

そのとき僕は40枚近いカワハギを釣り上げたのですが、その方は2枚・・・

ご自分の動きに気を取られていたのか、水中の仕掛けのイメージ、全体的な釣りのバランスを欠いていたような印象でした。

 

例えば・・・

車を運転して釣行される方も多いかと思いますが、ご自分で運転する車でもバイクでも自転車でも、運転中にブレーキをかけるタイミングやウインカーを出すタイミング、キープレフトでの左側との距離感、車間距離など、同じ乗り物を運転するのでも、人によって結構まちまちなタイミング、間合いがあるかと思います。

さらに、個人個人で書く文字も、きれいな方もいれば、僕のように流れるようにヘタクソ・・・な人もいますし、「絵心」と言われる絵を描く上手さ=生まれ持った才能=センスも皆さん違うと思います。

共通するところは、乗り物ならそこそこ運転できれば目的地に到着できること、字でも絵でも表現でき、他の人から見て情報として伝わることだと思います。

 

釣りでは・・・

一人として同じ仕種や行動、思考の人間は居ないと考えられ、たとえ双子であっても、まるっきり、全く同じと言う訳にはいかない筈です。

ですから、自分の持つ技術、思考の全てを伝えたと思っても、受け手によっては半分位しか伝わらず、その中の半分できれば、すなわち発信した情報量の1/4できれば御の字なのではないでしょうか!?

先の車の運転のように、一人として全く同じ運転をすることはできず、「同じ舷でよく釣っている人はこういう動きで釣っている。では、その動きを自分自身に置き換えた時、その釣り人と同じ仕掛けの動きをさせるにはどうしたらよいか?」をまず考え、竿やリール、ライン、仕掛けなどの差異を見極め、ご自分のタックルではややオーバーアクションが良いのか、はたまた消極的に動かした方がいいのかなどを第一歩に、カワハギ釣りであればそこからハリスの長さであるとか、エダ間であるとか、鉤のサイズ、号数などの各論を引き出し、「水中の仕掛けはどうしたら同じ動きになるのか?」を考える訳なのです。

ルアーフィッシングの先人には、「ジギングで魚を釣るとき、太いリーダーの方が掛けてからは安心してやり取りができる。しかし、細いリーダーに比べてルアーの動きが劣るわけだから、そこをどうしたらジグが同じ動きになるのかを考える」との記述を読んだことがあります。

全て肯定できるこの一文の中には、自分のロッド、ライン、リールのバランス、そして自分の技量や体力、潮流や船長の船の流し方のクセなどの他、天候、潮色によるルアーのカラーなども加味していて、この一文の先にある周辺状況が隠れているのが感じられ、その全てのバランスを考え次に繋げる=アタリを出すことを示唆しているメッセージなのだと読み取ることができます。

「何もそこまで真摯に釣りと向き合い真剣にならなくてもいいのでは?」とお考えの方もいらっしゃるかと思うのですが、このところ開催させていただいている釣り教室を経験させていただき、文字通り十人十色の釣りの経験、技量、タックルの方々とその日初めて船上でお会いし交流を持つ時、その方々の感覚をなるべく読み取るように心掛け、自分の感覚をいかにスムーズに、そしてより効率良くお伝えできるかを何時も考えながら進めてるよう心掛けてきました。

 

本当に謙遜ではなく、「不肖講師」の釣り教室にご参加いただきました釣り師の皆様ありがとうございます。

皆様と相対することにより教えられることも多く、勉強させられ育てられていると感じることが多々あります。

「真剣に楽しく」、「楽しく真剣に」を念頭に、出来る限り今後も「感覚が伝わる」釣り教室を心掛けて行きたいと思っています。

 

ちなみに・・・、僕は字もヘタクソですが、絵はもっとヘタクソなのです・・・(我子談・涙)

 

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