アングラー:林 良一


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2012.1.12

〈林〉寸と尺

先日津軽海峡のマグロ漁船に芸能人が乗り込み、手釣りの漁法を竿に替えて臨んでいたテレビ番組がありました。

この海域では、手釣りに加え延縄漁などもあるようですが、鉤掛かりしてからがパワフルなマグロのこと、その強力な引きを耐えていなして船上に上げれば高値が付くこともあり、今年の築地の初売りでは、史上最高値の五千数百万円の値がついたことも驚きと共に皆様ご承知のことかと思われます。

 

釣りでは、その引きよりも、狙った好敵手と対峙し、いかに自分の間合いに入れ込み主導権を握り、狙った獲物を掛けることに趣を置く釣りもあり、全長が寸(30.3ミリ)以下の魚をどれだけ多く釣るかを競う淡水のタナゴ釣りなど、その最たるものではないでしょうか。

漆塗りを施し工芸品と見紛う竹の節が揃った短く揃えた竿を継ぎ、細イトを付け、これまた小さな浮きの仕掛け、首からはタナゴ箱と呼ばれる、エサの玉虫(イラガ蛾の幼虫)を入れる小箱が付いた、魚篭を兼ねたコンパクトな木箱を提げ手返しを向上させ、極小の好敵手に市販のそのままのタナゴ鉤では飽き足らず、自らルーペで覗きながら、手に慣れ親しんだ様々な砥石で鉤先をより小さく、より鋭く研ぎ進めて行き・・・、それはまさに小さなタナゴを掛け、数を釣る釣りの集大成で、これも釣りのロマンと言っていいのではないでしょうか!

とある釣り漫画では、巨漢の外国人がタナゴ釣りの大会に出場、その大きな掌に、自ら釣った百匹余りのタナゴを並べ乗せ優勝、なんていう件もありました。

そして、今がハイシーズンであるワカサギ釣りもその範疇の代表格と言え、宮澤さんは言わずと知れたカワハギ釣りの名手でありワカサギ釣りの名手でもあります(もちろんアオリイカ、タイ他も名人超級ですが)。

 

カワハギ釣りでは、その釣った枚数を指標とすることが多いですが、概ね全長30センチ(正確には30.3センチが一尺)を超えるカワハギを尊び「尺ハギ」と称し、個人的には去年までに33センチを筆頭に4枚の尺ハギを釣り上げていて、今年の初釣りでも運良く尺ハギを釣ることができました。

しかし上には上がいるもので、釣友は久比里の己之助丸さんの大型カワハギのレコードを持っていて、その全長何と38.5センチ! 宿には魚拓が貼ってあり、彼はそのカワハギを剥製にして自宅に飾っているそうですが、十二分にその価値があると思います。

 

「寸と尺」、釣りでは十倍長さが違えど、その楽しみ方の根底にあるものは類似しているもので、「アタリを出して掛ける楽しみ」は、タックルの軽量化が物語るように、より軽く、より感度良く、より繊細なほどに、魚からの微妙な挙動が感じ取れ、より深い境地へと入り込んでいけるのではないでしょうか。

また、大きな方から考えてみると、一間(一尺の六倍・1.818メートル)以上の魚を狙ってらっしゃる、まさに先のマグロなどを狙う釣り師もいらして、一口に「釣り」と言っても、その魚種の豊富さ、それぞれの奥の深さ、スケールの大きさは趣味の中ではトップクラスではないでしょうか。

そんな幅と奥行きとがある釣りに出会い、それが人との人との繋がりになりなり、時間軸と共に自分自身の人としての幅や奥行きも、寸から尺、尺から間よろしく、もっと大きな広がりを持てるようになりたいものです。 

 

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己之助丸電話番号:046-841-1089 

己之助丸(最新釣果)HP:http://www1.odn.ne.jp/minosuke/news.html