〈林〉釣友からの嬉しい連絡
釣りと出会い、細いイトを通して魚と対話する喜びを覚えて行く・・・、そう、釣りに没頭している僕は、アタリを出そうと集中、狭い視界の先にある竿先を真っ直ぐに見つめていて、頭の中では今まさに海底で、仕掛けの周りを警戒しつつエサを摂(盗)ろうとしている魚の気持ちを慮ろうと思考を凝らしている・・・、そんな釣り座の隣には、同じ心境で竿先を見つめている釣友の姿が・・・。ふと目が合うとお互いに照れ笑い・・、いやいや苦笑い・・・。
人生の先輩であったり後輩であったり、時として釣技を競うライバルとなりうる釣友。
釣行を重ねる毎にフランクになって行く会話、釣り宿に向かう道中など、釣友の笑顔を引き出したいが為に考え付いた笑い話に、ハンドルを握りながらついつい一人笑をかみ殺す・・。
船上での貴重な時間を分かち合いながら、それぞれの楽しみ方に興じていく、そんな仲間がそろって皆良い顔で釣りをしている光景、その日釣友皆が主人公という微笑ましい情景。
そんな豊かで満ち足りた気持ちにさせてくれるのものが釣りであり、釣りを通して尊く大切な方々とお知り合いになることができ、今なお新たな出会いが度々あり、その度に胸逸るものです。
僕の釣友にKさんという人がいます。
彼とはご多望にもれず釣りが縁でお知り合いになり、DKOのファイナリストでもある彼、年の頃は僕より幾つか下になり、釣り対する熱意や研究心が全く同調、ある時からお互い船で会うのを心待ちにして釣りに出かけて行ったものでした。
ところが彼、仕事の都合でしばらく釣りに行けない状態になってしまい、たまに連絡は取り合うものの、もう2年近く彼とは会っていないのではないでしょうか・・・。
そして7月初旬の朝、仕事を始めようとしているとKさんから携帯にメールが、そこには・・・
「おはようございます。 最近釣り行かれてますか? もしかして何かありましたか? 毎日暑いですけど頑張りましょうね!」
という文面がありました。
何より久し振り、そして嬉しさのあまりすぐにKさんに連絡をしてみると、「最近このマルマルブログや、林さんの個人ブログの中の釣行記が少ないようなので、釣りに行っていないということは、何かあったのかと思いメールをしたんですよ」とのことでした。
そこで彼には、釣りには行っているが、今季は先日迄思うようにマルイカが釣れず釣行記が書けなかった事、先の大震災を受けて、釣りを通しての被災地支援を行っていることなどを短く話し、お互いの元気な声を聞き合い安心して受話器を置いたのでした。
釣りを通して知り合ったのにもかかわらず、2年近くも釣りに行っていないKさん・・・。
でも、そんな境遇の中でも僕を心配して連絡をしてきてくれたKさん・・・。
電話を通して生涯の友と再認識できたその朝、嬉しい思いを通り越し、暑さの中仕事がはかどったことは言うまでもありません。
釣りを通しての素晴らしい出会いに一人何度も頷き、心から良かったと思える一時でした。