林 良一さんの記事
2011.5.11
〈林〉タタキ後編 ~カジキに補食されるベイトフィッシュ~
テレビ番組の中でバショウカジキカジキの補食シーンを観たことがあるのですが、そこで補食される側のイワシ(だったと思います)の行動について思うことがありました。
それは、とある海の表層近く、十数匹で集団を組んでのバショウカジキが、直径1m前後の団子状になって泳いでいるイワシを補食の為に襲うシーンなのですが、イワシの周りをカジキが取り囲み、芭蕉の葉に形容される大きな背鰭を立てイワシを包囲、団子状の中の一匹のイワシに狙いを定め、その長く伸びたビル(クチバシ)でイワシを叩くようにして群れから離し、その直後もう一撃を加え動きを封じ込めていました。
そして「いざ補食か」と思って観入っていたのですが・・・。
群れになり、カジキの目を惑わせながら必死に逃げようと泳ぐイワシなのですが、二度にわたって攻撃を加えられ、かなりのダメージを負っている筈、それでも、群れから離れ手負いとなりながらでも、必死に泳いで群れに戻ろうとしていたのです。
ジギングのとある本の中に・・・、「補食魚に食われると思ったとき、たとえ片目になろうと傷を負っていようと『生き延びたい』という本能で必死に泳ぐわけで、その動きをジグに与え・・・。」という記述があることを思い出しました。
そして、カジキから必死に泳いで逃げようとするイワシなのですが、受けたダメージの為でしょう、シャープさが失われ、幾分ピクピクとした泳ぎになっていることに気付きました。
前回書いた「タタキ」に重複しますが、やはり「弱ったイワシを演出する」動きがタタキによって模せることがその番組を観ていて頷け、全く同じ動きではないにしても、その時のマルイカの補食スイッチが入るタタキ=弱ったイワシの動き ならば良いわけで、タタキの効果、必然性を再確認できた感がありました。