〈林〉カワハギは聞き下げ、マルイカは聞き上げ!?
カワハギの宙釣り、その日のカワハギの活性を意識、考慮してのFD(Fixed-Depth 固定水深)からの誘い下げ、エサを食いに来るカワハギの、アサリをついばむようなアタリの初動を捉え、その場で掛けに行くか、さらに聞き下げて行き、カワハギにエサを食いやすい体勢にさせながら鈎掛かりに持ち込ませるか、宙釣りの醍醐味でもあり、最も面白いところではないでしょうか。
マルイカ釣り。
オモリ着底後すぐのアタリ、いわゆる「着乗り」のアタリを瞬時に探しますが、着乗りが無い場合、その次の釣り方に移行して行きます。
例えば次には、シャクリ上げるようにオモリを底から1m程切り、オモリの重さを含めた、ラインや仕掛けに受ける横からの潮の影響も加えた、トップガイドから先の全荷重を竿に背負わせての釣方にしていった場合、この状態で仕掛けを海中でステイさせているとき、船の揺れで緩やかに上下する竿先の微細な変化を注視し、その「微細な変化」、それはマルイカのアタリなのか、そしてマルイカのアタリだとしても、低活性などで警戒心があり、足先で触っただけなのか、それともスッテを補食しようとして抱いているのかなどのアタリの違いが見極められたらしめたものです!
ベタ凪ぎで煩瑣にアタリがある、釣り手にとって好条件なそんなときには、そのアタリの違いが分かりやすいことがあり、しっかりとした「抱きアタリ」を捉えて掛けた価値ある一杯のマルイカに、内心うなずき、一歩も二歩も前進した自分についほくそ笑んでしまうこともあるかと思います。
仕掛けが着底してすぐアタリが出ず、しばらく時間が経ってしまった時など、タタキを入れるのも一案、瀕死のベイトを演出してみたり、そのタタキによるリアクション、それは猫が猫ジャラシに反射で前足を出してしてしまうような、そんな状態をマルイカにも抱かせ、ついスッテを抱かせてしまったり等をイメージして釣ることもあります。
そして、水中動画映像などで仕掛けの付近にいるマルイカがスッテを襲う時の動きを観察してみると、スッテのやや下方からスッテに間合いを詰め、一気に飛びついて来るような動作をしています。
これは以前、永田さんからも助言いただいたマルイカの動きです。
そこでカワハギの聞き下げとは対極の、マルイカの場合仕掛けをユックリと「聞き上げ」て行き、今まさに海中のスッテの前で間合いを詰めようとしているマルイカに、スッテをユックリと聞き上げて行くことでユルリと間合いを広げ、焦らし、反射的にスッテに抱きついてしまう衝動を与えてしまうキッカケを作るイメージの仕掛け操作をしたりします。
こうすることで、その日のマルイカが攻略できるかというと何ともなのですが、一つのパターンと思っていただければ幸いですし、残念ながら着乗り、入れ乗りが終日続く日などはそうは無いことも事実、そんなときの価値あるもう一杯を是非手中にです!